目次
ブックマーク
応援する
いいね!
コメント
シェア
通報

第4話 被告人陳述


 まさか、条例で禁止されている、客引きなどという行為が、歩道で行われているとは夢にも思いませんでした。


 私は、ただ、襲ってくるように見えた暴漢を突き飛ばしたのに過ぎません。


 また、客引きなどという行為が実際に行われていたとしたら、その条例違反を摘発しなかった、警察の不作為以外の何ものでもありません。


 私が突き飛ばした男性は、私には暴漢に見えたわけですけれども、それがまさか客引きであるなどとは夢にも思わない。


 もし、男性が客引きなのだとしたら、条例で禁止されている客引きなのだとしたら、それを摘発しなかった不作為によるものであって、男性を殺害したのは、私の故意ではなく、警察の不作為によるものと思います。


 ですから、男性のご遺族は、警察に損害賠償請求するべきです。


 警察がちゃんと取り締まっていれば、男性が客引きとして歩道に立つことはなく、私も暴漢と誤想して突き飛ばすことはありませんでした。



【つづく?】

この作品に、最初のコメントを書いてみませんか?