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8-3

『彼は、ママは家族の元に帰ると言ったらメイメイは家族じゃないの?と泣いて、煉陽明れんようめいは家族だと言っていた。僕は悪いことしている気分だよ。』

『先生…仕方ないですよ。どちらにしろ…。』

『そうだけど…。』

少し泣き声に近くなったので雪久ゆきひさは優しく言った。

『わかりました。今日はもう寝てください。明日は俺も付き添いますから。』

『雪久、来ないつもりだったのか?』

『え?いや…そうではないですが。』

『僕は一人でなんてごめんだよ!』

ガチャンと電話が切れて雪久は受話器を持ったまま苦笑する。

とにかく明日は無事に全てが終わるようにしたい。そして新しい明日が迎えられるように。受話器を置き、背伸びをすると自室に戻り床に入った。



翌日の朝は晴れた日だった。比較的暗めのスーツを選んで着替えて車に乗り込むと小鹿こじかを拾い、煉陽明と待ち合わせた場所へ向かった。彼は喪服姿で車の傍に立っていた。

『おはようございます、煉陽明さん。』

小鹿が車を降りると煉陽明は軽く会釈する。

『おはようございます。今日はよろしくお願いします。』

『ええ、お一人ですね?』

『メイメイが来たがりましたが…シャオにお願いしてきました。』

『また泣いて?』

煉陽明はフフと笑う。

『ええ、まだ小さいですから。遺骨があればママが帰ってくると思っているんです。お空に行ったと言ってもわからずで。でも今日は我慢してくれました。』

『うん?』

『フフ、今日はパパとママがおでかけする日だと言ったんです。あの子は了解してくれました。笑顔で送り出してくれました。』

小鹿は苦笑すると頷いた。

『そうか。では行こう…今日は約束どおりに頼みます。』

『ええ、分かっています。無事に帰してあげたいだけなので。』



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