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8-2

『ああ、それはやっかいだな。まあ、煉陽明れんようめいに任せればいいんだろうが…あの子はまだ小さかったからなあ。かわいそうに。』

『悩ましいですよ。本当に…もし真実を明かせば遺骨を譲り渡すなんてことはあるんでしょうか?』

小鹿こじかは指で煙草の灰を落とす。

『うーん、どうだろうなあ。さすがに厳しいだろう。失踪した妻が記憶喪失で異国人と愛し合って子供まで作って死んだなど、受け入れられないだろう。』

『そう、ですね。俺は日奈木ひなきのことを知りません、先生から見てどういう人なんですか?』

日奈木正人ひなきまさとか?…彼はいわゆる実直な男だ。今回この件について少し話をしたんだが、彼は確かに木綿子ゆうこを愛していた、だから瑪瑙めのうが生まれた。しかし木綿子が失踪して随分と苦労したそうだ。彼も何年かは探していたそうだが手がかりもなく…そんな時に周りからはどうせ男でも作ったんだろと言われてしまったらしくてね。ついでに仕事も回り始めたものだから、もう時間が割けなくなってしまったようだ。』

『なるほど。…となると煉陽明の話は難しいですね。まさにそれになってしまう。』

『うん。』

『もう一度煉陽明にそのあたりの話を詰めたほうが良さそうですね。彼が返すと言ってる以上はある程度は希望は通したいところです。』

『じゃあ、明日連絡しよう。彼が良い返事をしてくれるといいが。』

『そうですね。』

翌日の夜、電話口で小鹿はこちらの計画通りになったと話した。珍しく不機嫌そうな声だった。

『どうしました?計画通りではないんですか?』

『そうだが…僕と煉陽明が話している時にメイメイが来てしまってね。ちょうど遺骨の箱を見せてもらっていたから彼女は激しく動揺して泣いていた。』

『それは…。』


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