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第6話 小学校低学年のときは楽しかったですよ、多分。

 小学校での生活は、まあまあ。至って普通の女子小学生でしたよ。名前も顔も覚えていないけれども、好きな男の子もいましたし、よく遊ぶお友達もいました。



 強いて違うところがあるとするなら……。そうですね……よく遊ぶ女の子の独占欲が強かったくらいですかね。名前は、『せいこちゃん』だったか『せいかちゃん』だったか……。まあ、その子を『せいこちゃん』と仮定して話しを進めますね。


 『せいこちゃん』は、私が他の同級生と話していると、腕を引っ張って連れ戻したり、私と持ち物を殆んどお揃いにしてきたり、と……まあ、かわいいものですよ。まるで束縛系彼女のようでね。あ、笑って良いですよ。



 『せいこちゃん』のことは愛らしいとしか思わなかったのですが、持ってるぬいぐるみや学用品を盗んでいたと知ったときは、さすがに腹が立ちましたね。まあ、誰しもそう思いますよね?



 窃盗事件の後、私に対して、『盗みたくなるように、良い物を持ってるのが悪い』と、大人でも辟易するような持論を翳してきましたから……疲れますね。



 そのしばらく後に、『せいこちゃん』の学校の様子をお母様が担任の先生から聞きに行かれたようで……。その日から、お母様から『せいこちゃん』の悪口をひたすら聞くことになったのは、想像に難くないでしょう。そうでもないですか……そうですか……。



 悪口の内容?覚えていますよ。『せいこちゃんの両親はしっかりした職の人たちなのに』とか『せいこちゃんはお婆ちゃんに育てられたから、愛情不足でワガママだ』とか……。



 とても、子供には聞かせられるような内容ではありませんでした。それに、学術に基づかない『ド』が付くほどの偏見でもありますし……ねぇ?これだから、無学者は……なーんてね。


 そもそも、『せいこちゃん』は同級生ですから、小学校低学年の子どもですよ?私はお母様にとって完成で理想の……大人の中でも通用する子どもでしたが、『せいこちゃん』は普通の子どもでした。大人から見て至らぬ点の方が多いですし、大人の土俵で語るべきではないのですよ。なのに……。いえ、話題を変えましょうか。

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