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薔薇は断頭台に咲く
薔薇は断頭台に咲く
ぴすぴす
異世界恋愛悪役令嬢
2025年06月28日
公開日
1.3万字
完結済
ここに一つの手記がある。 横暴な運命に挑み続けた女性『クラリッサ・フォン・アルゼンティア』。 後の世に『悪逆令嬢』と呼ばれ、無実の罪で断頭台へと誘われた悲劇の女性。 運が悪かったのか、時代が悪かったのか、今ではもうわからない。 そんな彼女の知られざる半生。 裏切りと裏切りに満ちた人生。 偽りの真実に抗い、たったひとつの希望を託した物語。 筆者の名は『マリア・ベル』。 彼女はクラリッサの付き添いメイドであった。 静かに微笑むメイドは、誰にも知られずに歴史の影に名を落とす。 ※真実はあなたが決めてください

冒頭

 私はこれから一人の女性の人生を残そうと思っている。


 彼女の名前は『クラリッサ・フォン・アルゼンティア』。


 アルゼンティア伯爵家の令嬢であり、稀代の『悪逆令嬢』と呼ばれた女性。


 その罪状は、国家反逆罪、国家転覆罪、国家騒乱罪、王家不敬罪、王家侮辱罪などなど。


 そして、彼女の人生は断頭台の上で幕を閉じることになった。


 その不名誉な悪名と共に永遠に語り継がれることであろう。


 しかし、彼女は後世に伝わるような『悪女』では決してない。


 決して語られない物語がある。


 彼女はどんな裏切りに合いながらも前を歩き続けた。


 彼女はどんな侮辱に合いながらも後ろを振り向かなかった。


 目指した未来は唯々より良い治世。


 この国の将来を憂いた一人の貴族。


 愛する人と共に生きられなかった女性。


 そんな彼女の知られざる半生を語ろう。


 私の名前は『マリア・ベル』。


 私は彼女の付き添いメイドだった。


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