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誰かの心の中

 ああ、くたびれた。


 まったくもって手間を掛けさせる。


 処刑も済んだしこれですべてがようやく終わった。


 すべてうまくいった。


 大体あの人を見つけたのは私が最初だったのだ。


 それを後からあれはさも自分のもののように。


 シルヴィアも本当に愚鈍な女だ。


 わざわざ、手紙の事も夜中に抜け出していることも教えてやったのに。


 行動に移すのに時間が掛かりすぎだ。


 本当に救いようがない。


 所詮は男にしな垂れなければ生きられない愚かな女か。


 ああ、それは私も同じか。


 さて、証拠は何処にも残していない。


 あとはこの手記が伯爵家の人間に見つかればそれでいい。


 そうすれば死んだのはメイドのほうだと誤解するだろう。


 本当に愚かなお嬢様だ。


 だから何度繰り返しても貴女は死ぬんですよ。


 ああ、これも同じか。


 本当愚かな『悪役令嬢』だこと……。


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