攻撃は効かない、頼みの綱の正騎士は防御しかしない。
どうする?
雄峰、源三郎と無言でアイコンタクトを交わす。言わなくても考えていることは同じだと目が語っていた。さすが地獄からの付き合いだ。
「逃げろぉ~!!」
俺達は一目散に逃げだした。後ろの方から呼ぶ声が聞こえたような気がしたが、たぶん気のせい。
走って遺跡から脱出した俺達三人は、休憩にちょうどいい木陰を見つけてくつろいだ。
「やっぱりいきなり高難易度のクエストは無理があるな」
「だな!」
気を取り直して簡単なクエストからやろうにも、既に受けてしまったクエストを破棄するのは信用にかかわる。こうなったらレベルを上げて再戦するしかないということで、モンスターを狩ってレベル上げをすることにした。
「この辺で程よいモンスターは何がいるかな?」
「それなら、ローグラビットを狩ると良いよ」
自然に会話に入ってきた女の子の声。振り返ると、剣士のクララちゃんが立っていた。
「クララちゃん! こんな所でどうしたの?」
彼女はニコニコしながら、俺達のそばにやってきた。
「実は、ソウタくん達がカルボネアの正騎士に連れて行かれたのを見かけて様子を見に来たの。ナイトって融通が利かないでしょう?」
融通が利かないというか、ただのアホというか。
「それで、ローグラビットってどんなモンスターだぁ?」
戦闘で活躍できなかった脳筋がモンスター情報に興味を示している。
「
「国の指定で狩った分だけ経験値と賞金が余分に貰える、討伐を推奨されているモンスターのことだよ」
雄峰がウォンテッドについて補足した。つまりお得ってことだな!
何かを忘れているような気がするが、俺達は兎狩りモードに突入した。
ローグラビットは大して大きくないが、その分素早い兎だった。こちらが狩る気満々なのを悟ると、一目散に逃げ惑う兎。まるで俺達のようだ!
「いたぞ!」
「まてぇ~!」
「そっちに追い込め!」
クララちゃんに応援され、狩りに興じること数時間。なんと全員レベル10まで上がった!
「色々とスキルも覚えたね」
「ピエロの芸も多彩になったなぁ」
うむ、なんと綱渡りが出来るようになった!
どこで使うの? これ。
「そろそろクラスアップ出来るね」
二次クラスになる条件はレベル10というのが相場だ。早速行こう!
「クラスアップできる祭壇? ってどこにあんの?」
「ちょっとここからは遠いな。まずは町で私と源三郎のクラスアップをしてから向った方が良い」
なるほど。モンスターがいるって言ってたからその方がいいだろうな。というわけで俺達は町に戻った。
「ここが
いかにもな地下の施設にやってきた。さすが、基本を外さないな!
「ほう、コソ泥から大泥棒にクラスアップしたいのか」
クラス名なんとかならないのか? ちなみにその上は義賊、怪盗、大怪盗、ゴッドハンドになる。ゴッドハンドって響きは凄いけどイメージはスリとか小細工の得意な奴って感じなんだが。あるいは格闘系。
「……よし、レベルは十分だな。いいだろう、今からゲンザブロウは大泥棒だ!」
意外とあっさりだな。何か試練とかあるのかと。
「試練が必要になるのはもっと上のクラスだよ」
俺の心を見透かしたように答える雄峰。俺は考えが顔に出てたりするのだろうか?
まさか、そういうテレパシー?
「颯太の考えることはすぐわかるさぁ」
ぐぬぬ……脳筋にまで言われた。
「じゃあ、
そっちでもすぐクラスアップ出来たのでカット。雄峰は白魔術師から白魔導士にクラスアップした。あんまり変わらないな。
「結構強力な魔法が使えるようになったよ」
おお、凄い。
「じゃあ早速俺のクラスアップに行こう」
俺も早くクラスアップして役立たずを卒業したいものだ。
「いや、やり残していたクエストを消化しよう」
えっ、何かあったっけ?
「そうだなぁ、お宝を盗りに行かないと」
ああ、そういえば遺跡の宝物を探してたんだ!
「なら、私も行くよ!」
おおっ、クララちゃんが一緒なら百人力だ!
まずは遺跡を攻略してクエストを終わらせてから俺のクラスアップをすることになったのだった。
……うーん、まだ何か忘れているような?