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第2話 屈辱的な接待


引き裂かれるような痛みが、瞬く間に四肢の隅々まで走り抜けた。水野玲子は苦しげに身体を弓なりにし、肩を震わせながら耐えていた。

彼女は唇を強く嚙みしめ、口の中に血の味が広がるまで離そうとしなかった。

「神崎……この人でなし!」

か細い声ながらも、全力で後ろへと身を引く。

男は彼女の細い足首をがっちりと掴んだまま、自分の欲望を満たすことしか頭にない様子で、まるで彼女をただの玩具のように扱っていた。

「神奈川支社に行け。」

しばらくして、神崎航は彼女から身を離し、冷たい声で言い放った。

まだ怒りの中にある彼は、服を羽織ると乱暴にドアを閉めて出て行った。

ソファの隅で身を縮める水野玲子だけが残された。

まるで捨てられたボロ人形のようだった。


翌朝早く、水野玲子はオフィスで身支度を整えていた。

「社長が呼んでるぞ。」誰かが彼女に伝えた。

神崎航はパソコンの画面から目を離さず、彼女が入ってくると冷たく命じた。

「今夜、俺と一緒に接待に来い。」

「私……」行きたくない。

拒絶の言葉は、見えない圧力に喉で詰まった。


あっという間に夜になった。神崎航は玲子だけを連れて出かける。

「着替えろ。」

神崎航は暗い瞳で、彼女の黒いスーツ姿を一瞥した。

すぐさま横にいたアシスタントが紙袋を差し出す。

水野玲子は中身をちらりと見る。それは太腿ギリギリまでしか隠れないタイトなミニスカートだった。

ここまで来て、彼女はもう抵抗しない。控室で着替える。


再び現れた彼女は、まさに絶世の美女ほどだ。レースの飾りがついた襟元から白い首筋が露わになり、タイトなデザインが美しい曲線を強調する。細い腰、程よい豊かさ、すらりとした白い脚。

神崎航は喉を僅かに鳴らし、心に一瞬奇妙な感情がよぎったが、すぐに平静を取り戻した。


道中は無言のまま。目的地に着くと、神崎航が先に車を降りる。

相手と軽く挨拶を交わし、一同は席に着いた。


玲子は神崎航と藤江カンパニーの社長・山本茂の間に座らされた。強い香水の匂いが漂い、山本茂は顎に手を当て、いやらしい目つきで水野玲子を舐め回している。

「こちらの方は?」

山本茂が意味ありげに尋ねる。

たちまちテーブルの全員の視線が水野玲子に集まり、驚きと賞賛の色が一瞬走る。

「山本社長、ご存じないんですか?この方は社長の右腕、水野秘書ですよ。特に“有能”でね。」

隣の誰かが彼女を見知っているらしく、からかうように言う。

その口調には、あからさまな下心が込められていた。

男たちは意味深にくすくすと笑う。


玲子の顔色は一瞬で真っ青になる。

山本茂のいやらしい手が、遠慮なく彼女の腰に回された。

玲子はすぐに神崎航に助けを求めて視線を送るが、彼はまるで見ていないかのように振る舞った。

心は氷の底に沈む。玲子は気を取り直し、必死に山本茂の手を振りほどく。

「ここじゃ……人が多すぎます。」

彼女は何杯も酒を流し込み、今や酔ったような声でそう言い、頬は不自然な赤みを帯びている。

言外の意味は明らかだった。


神崎航の目が鋭く彼女を射抜き、薄い唇は一直線に結ばれる。意味の読めない表情だ。

山本茂は下品に歯を見せて笑い、神崎航に振り向いて言った。

「神崎社長、水野秘書は本当に気が利く!安心してください、取引の件はお任せを!」


胃がひっくり返るほどの嫌悪感。それでも玲子は自虐的に、わざと楽しんでいるような表情を浮かべた。

自分だけが気分を悪くするだけじゃ足りない。彼女は神崎航も徹底的に不快にさせてやるつもりだった。

神崎航はワイングラスの脚を指でくるくると回しながら、眉をひそめる。

「山本社長、ご自由に。」


玲子は瞬きをせず彼を見つめ、笑顔のまま、急に視界がぼやけた。


ホテルの上階にはスイートルームがある。エレベーターの中で、山本茂はもう我慢できない様子だった。

「あなたのような美人に、ずっと会いたくてたまらなかったよ……」


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