「登録者3000人、収益化達成っす~!」
「バンザーイ、バンザーイ!」
けれど肝心の収益は数百円ぽっちだった。予定の数十倍稼げてない現状に、私は頭を悩ませていた。これじゃ、今晩のご飯にもありつけない。
「そういえばシャンテル。なんか日本の首相が近々俺たちに会いたいって連絡が来てたぞ」
赤いバンダナと、赤いスカーフを外しながら鈴木のアニキはそう伝えてきた。
「本当っすか!? もしかしたら仕事を斡旋してくれるかもっす! いつ会う予定っすか?」
「明日」
「明日!? それまた急っすね。何か重大なことでもあるんすかね?」
とりあえず、明日は首相に食事奢ってもらおう。そう思った。
◇次の日
「君たちが巷で有名な勇者と聖女ですな」
「勇者じゃなくて鈴木なんですけど! あと聖女じゃなくてシャンテル」
「ああ、すまない。私は首相に就任したばかりでね。名前が分からなかったのだ」
鈴木のアニキの理不尽な返しを軽くいなしている。この日本国の首相、できる!
こうして、私達は首相に高級料理を奢ってもらった。
◇
「私は榊原隆景。今日、二人を呼び出したのは、とある重大な出来事が起きたからなのだ」
「その出来事ってなに?」
鈴木のアニキの問いを待ってましたとばかりに、首相はとある地図を取り出した。
「最近、渋谷に大規模なダンジョンが出来たのだ。私達は今すぐ中の実情を確かめる必要があった。しかし、思いの外モンスターが強くてな。そこで実力がある君たちに白羽の矢が立ったわけだよ」
鈴木のアニキの顔色を伺っているけど、あんまり乗り気では無さそうだ。
「それ私達が受けたとして、報酬は出るんすか?」
アニキが受けたいと思えるように、首相は誠意を見せてほしい。そう思って聞いてみたのだが、答えはNOだった。
「冒険者風情に金は出さん」
「どうするっすか鈴木のアニキ。このダンジョン受けるメリットこっちに無いっすよ?」
「ウーン。そうだなぁ。でも首相に食べ物奢ってもらったしなぁ。でもまあ別にいっか。首相の態度気に食わんし帰ろう」
「帰りましょうっす」
そうして帰ろうとすると首相が急に態度を急変してきた。
「待ってくれ。君たちが行くのは内閣で決定してることなんだ! それが破綻してしまうと、私が困る!」
「そんな情報ペラペラと話していいのか? お前、首相向いてねえよ。自分勝手な分からずやめ」
「まあ、ご縁がなかったということで、今日は帰るっす」
「三千万円……」
「……ほう?」
「地下三階まで到達したら三千万円を差しあげようじゃあないか!」
「言えばできるじゃないか! 約束だぞ!」
鈴木のアニキが三千万円に釣られて、ダンジョン攻略の話を受けることになった。
けど、口約束なのが不安だ。本当に三千万円渡してくれるのだろうか?