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第11話 牛鬼っすよ!

◇コメント


『ヤベッ、牛鬼だ!』


『牛の頭に、鬼の身体をしてる。合成獣か』


『獰猛で残忍な性格で、人を襲ったりすると言われてるアレ?』


『噂では、とある町を一日で半壊させたらしい』



 牛鬼。今の私達では出来れば相手取りたくはなかった。


「モォォォォ!」


 そう雄叫びを上げた後、牛鬼が鈴木のアニキめがけて突進してくる。


「させないっす!」


 瞬時に反応した私は、鈴木のアニキに対物理防御魔法をかけた。しばらくの間、物理攻撃の威力を半減させる効果がある。


 それでも、アニキは突進をモロに受け、壁まで吹っ飛ばされてしまった。


「アニキ~!?」


 尚も標的を鈴木のアニキに絞る牛鬼。再び突進していった。


 だが、アニキはタフネス。彼はすぐに立ち上がり、臨戦体制に入った。


 牛鬼が振りかぶって、殴りかかる。それをアニキは皮一枚でかわし、クロスカウンターを牛鬼の顔面にかました。


 アニキの鉄拳をマトモに喰らった牛鬼は、ダメージがあるのかふらついている。



◇コメント


『すげぇ、牛鬼とやり合ってるよ』


『さすがおかしい鈴木野郎でも勇者だな』



「どうして牛鬼は鈴木のアニキばかり狙いを定めてるのか。いや、まさか。それは後で考えようっす。今は加勢しないと」


 私は配信しているスマホを動かないように固定した後、アニキの元へ向かった。


 牛鬼と鈴木のアニキは殴り合っている。アニキは殴られる度に血反吐を吐く。それは牛鬼も同じだ。勝負は互角。


 ここでサポート出来なかったら私の存在価値は無い。


「パワーブースト! スピードブースト! サステナブルヒーリング!」


 アニキに筋力、脚力増強の魔法に加え、一定時間回復する魔法をかけた。これで私の魔力はすっからかんになってしまったが、きっと鈴木のアニキは決めてくれる。


「頼むっすアニキ~!」


 形成逆転。鈴木のアニキが徐々にステゴロで牛鬼を追い詰めていく。


「モォォォォ!」


 牛鬼がアニキめがけて拳を振ってくる。それをアニキはスルッと避けて、クロスカウンターを腹に決めた。


 牛鬼はフラフラと後ろへ下がっていき、程なくして倒れた。


「……このダンジョンの中で一番強いモンスターだった」


「お疲れ様っす。鈴木のアニキ~!」


 私は即座に彼の全身の傷を癒していった。流石に魔力が足りないので、初配信の時に買った魔力回復薬を飲みながら。


「シャンテルに矛先が向いてなくて助かったよ」


「それなんすけど。もしかしたら、鈴木のアニキの赤い服装に興奮してたかもっすね……牛だし」


「……えっ?」



◇コメント


『牛鬼は頭が闘牛で、闘牛は赤いのを見ると興奮するので、確かに理にかなっている』



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