「ヒヤマ様」
「アイ、どうしました?」
「ナギさんから
「わかりました。ご苦労様とお伝えください」
「はい」
わたしはナギさんに「了解」とだけ返信すると、受け付け裏の事務所にあるパソコンを立ち上げる。これから報告書作成に入る。
今回のターゲットは
偉人作家の魂が乗り移ったように創作が出来る
ヒヤマ様からそう伺っているけど、本当かしら。
もし、本当なら作家が喉から手が出る程欲しい異能力。
ただし、
まぁ、それだけで作家として活躍できるのなら、
様々な異能力がある中で、無害と言ってもいい力だ。
だから、わたしは放置して問題ないと思っていた。
しかし、ヒヤマ様が「念のために監視しなさい」と仰った。
わたしは
そして、ヒヤマ様の予想通り動きがあった。
売れる小説が書けるようになって、ターゲットは有頂天になっていた。 ”異能力”を題材にした小説を書こうと、編集者に提案している。
異能力の存在があまり広まりすぎるのは面倒だ。そう思ったわたしはヒヤマ様に駆除を提案した。
承諾は、すぐに下りた。
報告メールによると、カレンさんが放った弾丸がターゲットに命中。
その瞬間、ターゲットの作品を書く手が止まった。
作品を書く力を失ったターゲットは狂ったようにホテルで自暴自棄に暴れて器物損壊の現行犯で警察に連行された。
「
わたしが報告書をまとめ終えると、メガネを外して一息つく。
「異能力は、これ以上広まってはいけない。知らない方が幸せなこともあるんだから」
でも、わたしは違う。
異能力に出会ったおかげで、愛する人と出会えたのだから。