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第3話 監視体制(プライベート・アイ)に見られてますよ

「ヒヤマ様」


「アイ、どうしました?」


「ナギさんから完全燃焼ゴースト×ライターの駆除完了報告メールが来ました」


「わかりました。ご苦労様とお伝えください」


「はい」


 わたしはナギさんに「了解」とだけ返信すると、受け付け裏の事務所にあるパソコンを立ち上げる。これから報告書作成に入る。


 今回のターゲットは完全燃焼ゴースト×ライター

 偉人作家の魂が乗り移ったように創作が出来る異能力アビリティ。 ガイコツをイメージしたパイプから出る煙を吸うと、偉人作家の魂が異能力者サーヴァントに乗り移る。


 ヒヤマ様からそう伺っているけど、本当かしら。

 もし、本当なら作家が喉から手が出る程欲しい異能力。

 ただし、禁止事項タブーも存在する。自分の都合で物語を書き終えることできない。偉人作家の魂の気分次第なので、異能力者は偉人作家の奴隷のように作品を書き続けないといけない。


 まぁ、それだけで作家として活躍できるのなら、禁止事項タブーとは言えない。自分に勝手に書いて売れない作品を生み出すより、売れる作品を書く方が効率がいい。


 様々な異能力がある中で、無害と言ってもいい力だ。

 だから、わたしは放置して問題ないと思っていた。


 しかし、ヒヤマ様が「念のために監視しなさい」と仰った。

 わたしは監視体制プライベート・アイを使って、ターゲットを見張った。


 そして、ヒヤマ様の予想通り動きがあった。

 売れる小説が書けるようになって、ターゲットは有頂天になっていた。 ”異能力”を題材にした小説を書こうと、編集者に提案している。

 異能力の存在があまり広まりすぎるのは面倒だ。そう思ったわたしはヒヤマ様に駆除を提案した。


 承諾は、すぐに下りた。


 報告メールによると、カレンさんが放った弾丸がターゲットに命中。

 その瞬間、ターゲットの作品を書く手が止まった。

 作品を書く力を失ったターゲットは狂ったようにホテルで自暴自棄に暴れて器物損壊の現行犯で警察に連行された。


完全燃焼ゴースト×ライターを使わないと小説が書けないて三流クズらしい結末ですね」


 わたしが報告書をまとめ終えると、メガネを外して一息つく。


「異能力は、これ以上広まってはいけない。知らない方が幸せなこともあるんだから」


 でも、わたしは違う。

 異能力に出会ったおかげで、愛する人と出会えたのだから。

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