「そういえば、カレンちゃん」
「なんだ、ナギ?」
「カレンちゃんって、どうしてこの店で働いているの?」
「はぁ? なんだよ、急に」
「いや、別にヒヤマさんに弱みを握られているわけじゃないだろ。こんなヤバいことしないで普通の生活すればいいのに」
オレたちが次の駆除依頼が来るまで、クイーン×ビーの休憩室で時間を潰していた。そんな中、ナギがカレンに突然質問をぶつける。
オレは知っている。カレンがここで働いている理由を。
ナギはしつこく聞くけど、カレンは話すつもりはない。
カレン、悪いけど話すぞ。
「”
「”
「カレンが探している”
「ミサキ! 余計なこと言うな!」
「なるへそ、ヒヤマさんに弱み握られちゃっているね」
「そういう、お前はなんでじじいに従っているんだ」
カレンは話題を逸らすように、ナギがここで働く理由を訊ねる。
「おれっち? 金かな。この仕事以外にクイーン×ビーの女性用風俗のセラピストやってんだよ」
ナギは女性用風俗のセラピスト。
クイーン×ビーは表向きはラブホテルだけど、
だけど、女を異能力者にするために風俗で集まるわけがない。その対策として”女性用風俗”も行っている。
そのおかげで、大量の女の異能力者を増やせてヒヤマさんが喜んでいた。
「お前みたいな奴を指名する女いるのか?」
「ひどいな カレンちゃん。おれっち人気なんだよ。リョウ、マコトの次にね」
「3人しかいないセラピストの最下位じゃねぇか」
「あれ? そうか?」
やっぱり、ナギはバカだ。
いや、心の底が見えないというのが正しいか。
「そ、その、女性用風俗っていいのか?」
「あれ? カレンちゃん、興味津々?」
「うるせぇ! ほら、さっさと仕事するぞ!」
結局、カレンがどうして純粋無垢を探しているのかは、語られなかった。それでいい。オレは知っている。カレンの大切な人が純粋無垢に奪われたことを。
ヒヤマさんとカレンが2人で休憩室にいる時に、その話をしているのをオレは聞いてしまった。
その情報を得るために、
カレン、お前は自ら地獄に来たんだな。
それに比べてオレが
武器が好きだからだ。誰かを殺したいとか、傷つけたいとか、そんな気はない。
単純に自分が思い描いた武器を手にして眺めていた。
ここにいるみんなのような深い理由はない。
武器を創ったり、亜空間から取り出すことしか出来ない異能力。
創った武器はカレンが異能力を殺す以外に使わない。多分、オレが禁止事項で死ぬことはない。
2人とも、もし、オレが禁止事項で死んだら笑ってくれ。
「何、やってんだよ。ミサキ、行くぞ!」
「ミサキチ、行こうぜ!」
オレはこの居場所を失わないために武器を創り続ける。
せめて、コイツらを守れるくらいの武器を。