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読みにくいけど、聞きやすい本。2章

第20話

2章 前書き。

 2章めとなるこの物語では、バートが新たな試練に直面します。

 異世界である東京でルノーン界のことを考えながら、ルノーン界での環境と違う中で、焼きイモ屋ゲンちゃんでの修行に励みます。

 ヤマシマけとの絆が深まり、友情や家族の絆の大切さがますます明らかになる中で、チョットしたアクションと日常のチョットしたユーモアが融合した成長物語が展開します。

 この章では、バートがさまざまな経験を通じて成長し、お客様との関わりが物語を豊かにしてくれます。

 バート自身の秘密に向き合う瞬間や、心が締め付けられる別れ、新たな出会い、と思わぬ出来事が待ち受けています。

 果たしてバートは、これらの試練をどう乗り越え、自分は何をなすべきなのかを見付けることが出来るのでしょうか?

 ドキドキ、ワクワク、ハラハラの展開が再びあなたを待っています。

 さあ、バートと共に未知の冒険に、ご一緒に行かれませんか?


2章  本編 20話 4つの季節。


〈ゲント、みそら、俺は2人と家族になれて良かったよ。本当に有り難う……〉

 俺の体が光りに包まれて、意識がなくなり始めた時〈ドスッ〉とした感覚を感じた。

〈バート、またな!〉

 そう呟いて、泣いている美空の肩を叩き、ゲントはリビングの椅子に座り、タバコを手に取った。

 俺の意識は、そこで完全になくなった。

〈ピッ、ピピ、ピッ、ピピ〉

 なっ、なんだ! これは夢と言うやつなのか? 俺はなんの夢を見ていたのだろう。

 目覚まし時計を止めて、酷い寝汗を拭きながら、俺は朝の準備を始める。


★★★★


 俺が、この世界に転移して来て、半年が過ぎようとしている。

 相変わらずゲントは、仕事を教えてくれない……『見て覚えろ!』のスタイルだ。

 ルノーン界の師匠もそうだった。

 ちゃんと俺の修行を見ていて、次の段階まで行くと指導が始まる。

 だが、やっとゲントからの指示と指導をしてもらい、今年の新商品の開発を任されることになった。

 ……嬉しい。

「でも、なんなんだー! この暑さは!! 日本は暑すぎるぞおぉ!!」

 今日も暑い……暑いと言うよりジリジリ、ヒリヒリする痛い感じがする暑さが連日続いているゾ。

「何時まで、この暑さは続くんだあぁー」

 この暑さは、日本で経験する初めての気候なんだ。

 この国には4つの季節があるようで、俺には初めての体験だった。

(勘弁してくれよぉー、さすがにもう倒れちゃいそうだぁ……)

 ルノーン界には2つの季節しかなく、この世界で言うと春と秋と言う季節しかない。

『今日は昨日より少し寒いかなぁ~』『今日は昨日より暖かいなぁ~』ぐらいの気候なんだ。

 焼きイモの石を洗いながら、この暑さに対抗するために頭から水を被った。


★★★★


「おはようございます。今日も朝から暑いですねぇ」


 聞き覚えがある声だったので、水を止めて顔を上げたら、常連のお客さんだった。

 この暑さでもスーツと言う、見るからに暑そうな仕事着を着こなして、凛としている。

(今の俺には、この常連さんが、素直にかっこイイと思える女性だった)

「おはようございます。本当に暑いですね~! あっ、今日も取り置きしておきますか?」

 急いでタオルを取り、濡れた銀髪を拭きながら、笑顔を向けて尋ねた。

「はい! 帰りに寄りますのでお願いします。時間なので仕事に行きますね」

 彼女は、時計に指を差して頭を下げた。

「毎度 ありがとうございます。暑いので無理をしないで、気をつけてくださいね! 行ってらっしゃい」

 俺も頭を下げて彼女を見送った。


21話に続きます。


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