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黙示樹境界線戦~あの赤い花を撃て~
黙示樹境界線戦~あの赤い花を撃て~
ミスミシン
現代ファンタジー都市ファンタジー
2025年07月06日
公開日
2.8万字
連載中
突如、新宿に現れた“それ”は、誰にも気づかれずそこに存在していた。 空を覆うほど巨大な樹。その幹はすべての攻撃を受けつけず、白い花びらを降らせ、音も匂いも奪っていく。 やがて花びらの中から“悪魔”と呼ばれる異形が生まれ、都市は人の住めぬ終息圏へと変わった。 政府は沈黙し、正義は潰えた――それでも調査者の男たちは、この新宿に足を踏み入れる。 任務でも名誉でもない。ただ、「まだ終わっていない」から。 封鎖された街の中、彼らが遭遇したのは、一人の死者と、六人の学生たちだった。 “自由研究”のためと語る彼らの言葉の裏には、失われた家族への願いがある。 だが、境界線の内側で生き延びるために必要なのは――感情ではなく覚悟だ。 悪魔を斬り、撃ち、喰らう。 「食え。食えば気持ちが落ち着く」 吐き気と共に焼かれるワイバーンの肉。拒絶の先にある、生きるための唯一の道。 それは、“黙示の樹”に挑む者たちの、最初の夜だった。

序章

第1話 白花の黙示

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