たくさんの本が背の高い本棚に敷き詰められていた。この書物を読み込めば、最強の力を手に入れることができる。曾祖父からの教えだ。古く大きな扉を数十年ぶりに開けて、探し出す。最強の魔法を手に入れられるという分厚い本があるんだと父に教えられた。
でも、父は結局探し出すことができずに心臓発作で亡くなった。本当は暗殺じゃないかと疑われたが、命を狙われるのを恐れて、調べるのを辞めた。国を治めていた父にとって、誰かに命を狙われるのは日常茶飯事だった。跡を引き継いだ俺も対象となるはずだ。急いで、探し出さないと、命が危ない。父は、SPを何人も雇っていたから長生きできたが、財政が苦しく、俺にはSPは多く雇えなくなった。自分の力で守るしかない。埃をかぶり、ただ一つ金色の書物が奥の棚から見つけた。
「きっとこれだ。この本だ。今まで、いろんな本を読んで魔法を取得してきたけど、微力魔法しか習得できてない。これから最強の最大の魔法を取得できるんだ」
俺は、分厚い大きな書物をテーブルに置いた。埃が宙を舞う。金色の本が虹色に光輝き始めた。 小さな妖精が本の上に飛び出してくる。金粉をまき散らす。
「この本を手にしたのはあなた?」
「……ゴホンゴホン。あ、ああ。そうだけど。君は妖精?」
「見ればわかるでしょ。こんな小さくて羽根の生えた妖精いる?」
「……そうですよね」
俺は、妖精の言葉に怖気づく。強気な様子だ。
「私は、マリアノ。あなたは、最強魔法を手に入れたいんでしょ?」
「あ、ああ。そうだ。王である父が亡くなった今、最強の力が欲しい。王にふさわしい力を」
「あなたのお父様も手にすることができなかった力が欲しいのね。まぁ、息子は進化するのね」
「もちろん。俺の時代に、ふさわしい力だ!」
握り拳を作って、今持っている力を見せつけたが、小さな光しか生み出せない。マリアのは指パッチンをして、分厚い本を魔法の力でペラペラと開き、眩い光を出し始めた。
「王になった証の最強魔法よ!」
本の輝きが天井にそしてさらに部屋中に広がった。キラキラと太陽以上に眩しい。目を開けているのも、ひどかった。立ってるのもやっとのこと。尻もちをつき、壁に体を強く打ち付けた。
「さぁ、これであなたも最強の魔法使いの王になったわ」
「……おぉ」
俺は、両手を天高く広げて、魔法を繰り出した。
手にしてはいけない最強の魔法。
俺は、地球そのものをすべて壊してしまった。この世の終わりだった。