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第42話 スマホの画面を見すぎると大変なことに

 目覚まし時計が鳴った。まだ起きるにはまだ早い。

 もう少しふとんの中でゆっくりしていたい。スマホのーアラームを消した。

 ついつい、SNSの情報を見てしまう。フォローしているわけでもない人のコメントを見て、何だかいい気分がしない。文字をしっかり読んだわけでもないのに、何だかどんより。SNSを使っている人の気持ちががた落ちなのか開くのを躊躇する。それでも何か面白いことがないか、今流行りの情報はないかを画面をスライドする。


 いつの間にか、目の下にクマが出て、何もするわけでもなく、身体が猫背になる。


そう、SNSに魔物が潜んでいた。肩に真っ黒い闇が覆いかぶさってくる。自分が今、ネガティブな気持ちでないにも関わらず、SNSの画面を見ただけで気持ちが落ち込んでしまう。


「ねぇ、何してるの?」


 朝ベッドから起きて、部屋の廊下を出ると、誰の声かと思ったら、見た事のない男の子。


「え?」


「背中に何か憑いてるよ?」


「嘘、なんだろう?」


 後ろを振り向くと何もいないし、何もついていない。


「うっそー。べーだ」


 あっかんべーをして男の子は階段を駆け下りていく。朝早く変な夢でも見てるのかなとベッドに戻ってふとんの中に入った。眠り直そうとするが、目が冴えて眠れない。今のは何だろう。


「ちょっと、時間でしょう。仕事いかないの?」


 隣で寝ていた夫に揺さぶり起こされた。


「い、行くよぉ。夢を見直していたの」

「何を言ってるの。さっき目覚まし時計とめてたでしょうが」

「た、確かにその通りです。でも、知らない男の子がいたんです!!」

「知らない男の子? ……ねぇ、それってこんな顔?」


 隣にいた夫が小さな男の子になった。それはSNSで見かけた鍵盤ハーモニカの演奏が超絶うまい子の顔だった。


「ぎゃーーーー!!!」

 私は汗をたっぷりかいて目を覚ます。さっきのは、完全に夢だったらしい。息を整えて、深呼吸する。


「よ、よかった。夢で」

「何言ってるの。これは夢じゃないよ」


 隣に寝ていた夫が、甲高い声で小学生くらいの大きさに見える。目をぱちぱちとしてから舌をぺろっと出した。


「あ、そっか。これは現実ね。さて、起きようかな」

「おい!! なんで騙されないんだよ」

「手を隠して、身体の大きさを騙そうなんて、そんなの攻略済よ!」

 してやったりの顔をして私は跳ね起きた。今日は楽しい一日の始まりだ。

当分、SNSの画面を開くのをやめた。デジタルデトックスを始めた。


 気持ちがすっきりした。





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