「ねぇねぇ、引き寄せって知ってる?」
「……なに、それ。洗脳?」
友人の
「洗脳じゃないよぉ。だから、心の奥の奥で願いを思いづつけていれば叶うって話よ。例えばさ、赤い車が欲しいって思うじゃん。すると、自然と赤い車を街中の車をずっと見ちゃうって話」
「うん、そう。わかった。百歩譲って納得しておくよ。でも、それって願い叶ってないよね? 目の前通るだけでしょう?」
「あ、これは例え話でね、心の中で思っていることは自然と無意識に欲しいものへ視線が行くってことなの。だからずっと見続けていたら、それを手に入れるために自分が頑張るって話よ」
「頑張る? 結局、自分自身がお金稼いで頑張らなきゃないんでしょ? 引き寄せでもなんでもないじゃない」
「あ、あれ。うーんと、そうじゃなくて。臨時収入ってあるじゃん。それよ、それ。突然、親戚にご祝儀とかもらうことあるじゃん」
「……突然でもなんでもなくて、それは式とかの予定があってもらうよね?」
「……あーもう。それじゃ、話が終わっちゃうよ!! もう話したくない。現実的すぎるよ」
「何言ってるの。いつだって現実でしょう」
「だから、この世界は仮想現実なんだって、願いを望めばなんでも叶うんだよ」
「あんたは魔法使いか!?」
「……そう、私は魔法使い。ほら、望むことを言ってごらん」
羅菜は、くるっと体をまわして見たことのあるローブを着ていた。もちろん、手には魔法の杖を持っている。
「マジか。中二病の完成ね」
「……中二病を希望ね」
「あ、それはち、違う!!」
くるくると杖をまわす。私はキラキラと輝く光に包まれて、羅菜に中二病にされた。
見るものすべてが現実的ではなく、魔法を扱い、ドラゴンが出現、格闘家と軽く闘って勝てる体になった。
「ほーら、正真正銘の中二病よ。ふふふ……」
「じゃぁ、聞くけど、羅菜。あんたは一体、何よ」
「私は、
魔法の杖をふりかざした。
「?! 本当の目的はそれね! あーーーー」
真実を知った亜弥奈はどうにもならない突然の頭痛に悩まされた。目の色が青く光り羅菜の思い通りに動くロボットになった。