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第46話 信じられない話

ピロピロピローン

 ゲーム画面で音が鳴った。サイコロを振って、日本地図を旅するゲームだ。出た目の数が6が出て、空にぷかぷかと天使様が浮かんでいる。


「マジか!? 超ラッキーじゃん。俺、臨時収入出まくり〜イエーーイ!」


 高校の同級生同士4人で、琢哉の家に遊びに来ていた。ゲームで対戦したら、クラスメイトのお姫様でもある響子に告白するのは誰だゲームをしていた。1位になったやつが先に告白というルールを半ば強制的に決められた。もちろん、4人とも譲れない。みんなのアイドル、もしくは姫にしたいと思うぐらい美人なんだ。


「智司、ずるいなー。このまま行くと、俺が貧乏神つくんじゃねーか」

と、サッカー大好き琢哉がつぶやく。


「俺はセーフだけど、かなりの差があるな」

 インテリでメガネを掛け直す修司。


「俺、そこまで興味ないんだけどよな、そのゲーム」

 オタクだが、ゲームよりアニメ派の誠也。


「この天使様のおかげで財産一人勝ちだな!」


「はいはい、ラッキーボーイだね。そういやさ、天使様と言えば、お金持ち界隈でも不思議なことが起きてるって話、知ってる?」


 突然、話を切り出したのは琢哉だ。お気に入りのサッカーボールをぽんぽんと上に上げてキャッチする。


「あ、俺も知ってる。それって、手元にあるお金がゼロになっても不思議な力で臨時収入って話。あ、あれ、ゲームと同じシステムになるってこと??」


誠也が腕を組んで話す。そこへ修司がメガネをかけ直して言い始めた。


「それってただ、単に給料が入っただけじゃないのか? 働いてるだろ、金持ちなんだし」


 ごくごく当たり前の話をする修司に、琢哉が答える。


「いやいや、給料とは別に違ったルートからお金を稼ぐってことなんだってよ。すっげーな。夢あるよ」


「本当にそんなことが起きるなら、このゲームの天使様って、夢物語じゃないってことか」


「俺には、ボン、キュン、ボンの天使様やってきて欲しいなぁ」


 智司は手を合わせて窓の外に向かって祈る。修司は呆れた様子で肩をすくめる。


「お前の場合は、臨時収入じゃない別のことを言ってるんじゃないか?」


「へへへ……」


智司は、苦笑いをして、ゲームに集中する。本当に臨時収入が入ると良いなとお互いに思っていた。


不意にインターフォンが鳴る。


「琢哉、荷物よ」


宅配便が届いたようで、琢哉の母が1階から叫んでいる。

 薄い段ボール箱開けると、ギフト券1万円分が入っていた。


「俺、リアルラッキーボーイじゃん!」

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