灰色足の向かう先 ~呪われ悪役令嬢は、幼馴染の公爵様の腕の中~
六角 橙
異世界恋愛ロマファン
2025年07月07日
公開日
2.6万字
連載中
私には、誰にも言えない秘密があった。
それは、呪われた右足。
幼馴染のレオニスには、口が裂けても言えなかったのに。
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エルム男爵令嬢、ステラは右足に受けた呪いを隠すため、冷酷で滅多に人前に姿を現さない気難しい令嬢として生きてきた。
その過程で、幼馴染だったフォルティア公爵嫡男のレオニスとも疎遠になってしまう。
しかし、ステラの父が呪いを解くため、横領事件を起こしてしまう。だが、その横領に絡む公爵家や国の意向のため、ステラはレオニスと婚約を結ぶことに。
そしてレオニスは、呪いの真の由来を知る。
過去の誤解が解け、全てを知ったレオニスは、ずっと隠してきたステラへの深い愛情を見せ始めて……。
プロローグ
目の前で、何かが爆ぜた。隣には、庇うように私を抱きしめる、見慣れた金色の髪。
「だめ……!!」
私は無我夢中で彼を押しのける。一瞬、体が虹色の光に包まれ……次の瞬間、右足に冷たい、凍りつくような痛みが走った。
痛い。痛い。皮膚の奥から、骨が飛び出したんじゃないかと思うほどの激痛。
幼い私の悲鳴が、焦げ臭い煙の中に溶けていく。
「これは……石化の呪いか!?」
「解呪! ……解呪! ステラ、そんな、絶対に死なせない……!」
「やめろレオニス! お前の命が!」
遠くどこかで、男の子が泣く、そんな声が聞こえた気がした。