「ぁっ、やっ、あぁー……っ！　もうだめ、やら、しぬ、しんじゃう……っ」

「死なせませんから、大丈夫です。もう少し奥に、入れてください、先生」

「ひぅ……っ！」

　ばちゅんっと肉と肉が激しくぶつかり合う音が室内に響く。深侑はうつ伏せになって枕をぎゅっと抱えながら、後ろから容赦なく突かれる快感に負けそうになっていた。

「っはあ……先生の中は本当に気持ちいですね。とろとろで、ふわふわで、それでいてキツイ……私のための体が、とても愛おしいです」

「ん、んっ、それならもうちょっと、労わってくらさい……っ」

「まだそんなことを言う余裕があるとは……」

「んんー……ッ」

　エヴァルトの手によって尻臀しりこぶたを左右に割り裂かれ後孔を広げられて、勢いよく腰を打ちつけられる。一気に引き抜かれ、一気に貫かれる激しい快感の波に深侑は舌を噛んでしまいそうだった。

　枕は深侑に押しつぶされ、涎でべちゃべちゃに濡れている。ベッドのシーツも深侑やエヴァルトが出したものでとうの昔に汚れきっていて、二人がいかにこの行為に没頭しているかが窺えた。

「先生、こちらを」

「わ……っ」

　深侑は腕を引かれ、いつものように座っているエヴァルトに跨るような形に抱き抱えられる。上から落とされるように挿入されると奥まで貫かれ、深侑は失神しそうなほどの快感を覚えた。

「うぁ……っ？」

「はは、先生……誰にも見せられないほど、やらしい顔をしてますよ」

「やめて、だめ、もうだめ……！」

「駄目じゃないですから……もっと先生を愛させてください」

　下から抉るように腰を打ちつけられ、深侑はエヴァルトの首に抱きつきながら迫り来る快感に耐えるしかない。馬鹿正直に何度も達していたら体力も気力も持たないので気を張っているのだが、エヴァルトが首筋を噛むとビクンッと大きく体が跳ねた。

「ん、中が締まった……気持ちいいですか、先生」

「きもち、きもちい、です……っ」

「ふ、本当に……可愛い可愛いと言って抱いていた私に抱かれて……今どんな気分ですか、ミユセンセイ？」

「や、ぁー……！　つよくしな、で……！」

　腰をしっかり掴まれて挿入を繰り返されると、深侑はもう何度目か分からない白濁を吐き出した。エヴァルトとの間に吐き出されたそれはもうほとんど色がついていない透明な液体で、前を触らずとも達した深侑にエヴァルトは満足そうに微笑んだ。

「先生、ミユ、ミユ……っ。中に出しても、いい、ですか？」

「んっ、うん、いい、いいです……中に出して……赤ちゃ、できるかもしれな、から……」

「……先生の奥の奥に、私の子種をあげます。しっかり飲んで孕んでください、ねッ」

「あ、あぁぁー……ッ！」

　どぷどぷと音がするほど大量に、深侑の中にエヴァルトの子種が注ぎ込まれる。まだ出ているにもかかわらずエヴァルトは深侑の奥に擦り付けようと腰を動かし、また甘い声が漏れた。

　長い射精が終わり、やっと中からずるりと引き抜かれる。ベッドに倒れ込んだ深侑の秘部からはとぷっとエヴァルトが吐き出したものが溢れ出て、疲れた体はぴくぴくと小さく痙攣していた。

「先生、大丈夫ですか？　加減ができず、すみません……」

「だ、だいじょうぶです……でも、すごくきもちよくて、少し疲れました……」

「う……だから、あんまり煽らないでください……」

　汗が滲む深侑の額に張り付く髪の毛をかき分けて軽く口付けるエヴァルトに、深侑はきゅっと抱きつく。色んな体液で汚れているのに肌と肌が合わさる心地よさを知ったら、彼と一つになってしまいたいほどだなと幸せに満ち溢れていた。

「……子供ができなくても、将来先生と聖女様が運営する孤児院から優秀な子供を引き取りましょう」

「ん……それはいいですね……」

「そうでしょう？　何人でもいいですよ。人数は多いほうが賑やかで楽しいですから」

「うん……」

「大事なのは血の繋がりではありません。先生なら分かると思いますが」

　だから、一緒にいましょう。

　そう呟いたエヴァルトは、目を瞑って泣いている深侑の唇に優しく口付ける。血の繋がりはなくても、実の子供じゃなくても、愛情を注いで育てたら立派な人になるのだと言うエヴァルトの言葉は、深侑にとっての希望だった。

　それと同時に、彼の側にいてもいい理由があることに、深侑は感謝した。

「……いつか……」

「いつか？」

「可愛いポメラニアンも、飼いたいです……」

「……私だけじゃ物足りませんか」

「だって、もう……小公爵様は“アルト”にならないですもん……」

「仕方ないので、そのお願いは早急に叶えましょう」

　深侑がエヴァルトに抱きつくと、今はもうないはずの『アルト』の毛並みが包んでくれているようで、深侑はそっと目を閉じた。