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Sランクパーティーから追放されたけど冥界の女神に嫌われたせいで何度でも蘇る最強タンクになりました〜
Sランクパーティーから追放されたけど冥界の女神に嫌われたせいで何度でも蘇る最強タンクになりました〜
酩蘭
異世界ファンタジー冒険・バトル
2025年07月08日
公開日
3,850字
連載中
「こいつだけ死後の世界出禁ね。他の神に怒られたって良いから。マジで」 モンスター退治において重要なのは指標である。 強さが分からない状態で挑むのは自殺と同じだ。 そこで帝国ギルド協会はランク制を設けた! 最上位はSSSランク! そして最下位はFランク! 主人公のアルルはSランク……中途半端ではあるが上位なのには変わらない。 実力はSはもちろん、SSほどはありそうなのだが……。なんてたって酔っ払いで自堕落な男だ。 そんな性格が災いしてパーティーから追放され、酒に溺れた彼は謝って川に飛び込んでしまい、溺れ死んだ_____はずだったが!? なんと冥界の女神から反感を買い、生物で初めて冥界を出禁になる! 「あいつ、本当に嫌い。私の銅像に〇〇したでしょ?良いわよ。他の神に怒られたって。一人ぐらいそんな奴がいても世界は変わらないわ」 ※この後、大きく変わります。

第1話 最果ての別れ


 酔いのせいで視界が歪んでやがる。

夜風は一向に気持ち良くない。

反吐が出る。

何かスッキリしないとな。


「おい見てろよ!こんな銅像、錆びさせてやるよ」


俺は股間を露わにするとその銅像目掛けて豪快に放尿する。お酒を飲んだ後は止まらねぇ。


「おい、馬鹿野郎。今すぐにそこから降りろ」


同じSランクパーティーであるミココはいささか不機嫌のようだ。こいつはお酒が足りてないのかも知れない。


「うるせぇな。こんな辺境な街で、寂しそうな銅像のことを気にかけるやつはいねぇ。港が近いから魚の神とかなんかだろう?それにこの高圧的な顔がムカつくんだよな」


彼は下をずっと向いている。


俺は酔いが覚めてきたこともあり、もう一度酒場へ向かおうとするとミココの腕が俺の体に当たる。


「なんだよ。通せんぼのつもりか?」

「話がある。俺個人の話じゃない。リーダー、いやパーティーからだ」

「俺に説教は意味ねぇって分かってんだろ?お前ら年下は俺を敬っても良いんじゃねぇのか?」


彼は小声で何かを呟いた。


「あ?」

「良いから来てくれ。良いお酒もある」

「それを先に言うべきだな」


彼についていくと俺ら、パーティーが泊まっている場所についた。帝国ギルド協会が設けている宿舎だ。


俺らのパーティーはSランクのこともあり、泊まれる宿舎はそれほど設備や衛生は悪くない。


帝国ギルド協会が定めるランクによって泊まれる宿舎は違う。上位であればあるほど良い場所だって言うのは明確だ。


【ランク順】


SSS (上位)

SS

S

A

B

C

D

E

F (下位)


俺の所属するパーティーはSランクだから酷い場所に泊まらされることはない。


扉を開けるとパーティーメンバー全員が机を囲っていた。


「酒も女もねぇのかよ。おい、ミココ、嘘ついたな」

「黙れ。俺から大事な話がある」


パーティーのリーダー格であるランスははっきりと牽制するように言った。


「お前はパーティーに要らない」


俺は思わず怒りで机を叩きつける。


「今回のクエスト、このへっぽこヒーラーのミネラは俺がいなきゃ死んでた。俺が守ったんだぞ!」

「それは分かってる。お前がタンクの役割で大事なヒーラーである彼女を守ったことに問題なんかあるはずがない」

「なら」

「お前の私生活は最低だ」

「お前、人様の生活を指導できるほど偉くはねぇだろうが」


彼の横で黙って聞いていた魔法使いのアヤルは身を乗り出して


「死んでしまえ!クズ男!旅先で女を捕まえては無責任に惚れさせて人の人生を崩すだけのカス野郎。誰のことも責任を取らないのだろう!?」


彼女の勢いは止まろうとしない。


「お前のせいで人生を壊されたのは女性だけじゃない!こっそりパーティーのお金で賭け事をしたりしているだろう?!」


彼女は興奮しているのか鼻息が荒れていた。


「女が勝手に惚れただけだろうが。それかなんだ?ハーレムでも作って旅しろって言うのか?それにパーティーのお金って言っても俺が活躍した分も入ってるだろ」

「クズ野郎。お前には別途で渡している」


彼はまだ何か言いたげだったが最後に


「……二度と私の前に出るな」と言い放ち、身を引く。


ランスは腕を組みながらはっきり言った。


「お前は俺たちに相応しくない。確かにお前の代わりが簡単にいるとは俺らも考えていない。だが……もうメンバーは限界なんだ。お前の無茶苦茶な行動に飽き飽きしている。悪いが消えてくれ」


俺は手に持っていた空き瓶を壁に投げつける。


「好きにしろ。今回の報酬は要らねぇ」

「それはダメだ。しっかりと持っていけ」


彼は金貨の入った袋を用意する。

その袋にはいつもの報酬よりも多く入っているように見受けられた。


俺はなんだが自分が情けなく感じた。


「……旅先で困っている人間に渡してくれ。俺は要らねぇ」

「何よ。今更良い人ぶるつもり?」

「よせ、アヤル。この部屋を出るまでは仲間だ」


彼は初めて俺に寂しそうな顔をした。


「……3年ほどか。長いようで短かったが、ありがとう。アルル」


どうしようもない怒りが湧いてくる。


俺は部屋を飛び出した。

情けねぇ。あいつらよりも年上なのに。

なんで俺はあそこで「ありがとう」って言えねぇんだよ。


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