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第4話「魔帝と龍王の再会」

摩緒・・・いや、魔帝ヒルガデントは立っていた


高校生の身体のままではあったが、その威圧感と神々しいまでの雰囲気は、前世の頃の魔帝そのものだった


周防は膝をついた


周防の本来の『龍人形態』になるまで何年もかかったのだから、魔帝もまた本来の姿を取り戻すには時間が必要だろう


とにかく、魔帝の記憶が戻っただけでも十分すぎる成果だった


「魔帝ヒルガデント様・・・お帰りなさいませ」


周防は恭しく頭を下げた・・・魔帝は彼女の名前を呼ぶだろう・・・龍王ヒョーデルと


「何だ、ヒューマンのメスか」


「え?」


周防はキョトンとした・・・予想していた反応とまったく違っていた


沈黙が続いた・・・海の波音だけが二人の間を流れる


「あの・・・私は、龍王ヒョーデルですが・・・」


周防は釈明したが、魔帝は首を振った


「龍王ヒョーデルは、確か羽の生えた青い鱗を持った、ムサイ筋肉質の身体をした、いつもウザい讒言をするオスの龍人だぞ」


「ムサくて・・・ウザい・・・」

周防はショックを受けた・・・前世で自分の事を“そう”思われていたとは・・・


「では、龍人形態に変化させましょう」


周防は立ち上がると、青白い光に包まれた・・・その光が消えると、そこには青い鱗に覆われた龍人の姿があった


しかし、その体型は女性的で美しく、前世のムサイ筋肉質な姿とはまったく異なっていた


「何だ、龍人のメスじゃないか」


魔帝はまったく信じようとしなかった


「これは、この世界でヒューマンのメスとして転生したため、龍人形態もこのような姿に・・・」


周防は必死に説明したが、魔帝は聞く耳を持たなかった


「余の姿に畏怖を感じないのか?」

魔帝は疑問を呈した


確かに、周防は魔帝の威圧感を感じてはいたが、高校生の摩緒の姿では説得力に欠けていた


呆れた周防は魔法で鏡を作り出し、魔帝の前に差し出した


「ご自分の姿をご覧ください」


魔帝が鏡を覗き込んだ瞬間・・・


「な、何だ!!!このショボいヒューマンのガキは!!!!」


魔帝は絶叫した・・・鏡に映っているのは、間違いなく平凡な高校生の摩緒の姿だった


「だから、貴方様も転生して、今のヒューマンの身体になっているのですよ」


周防は冷静に説明した


「では、余たちの世界はどうなっているのだ?」


魔帝の問いに、周防の表情が暗くなった


「貴方が勇者によって封印された後、暫くして・・・上空から得体の知れない者たちが現れて、一瞬で、その世界は失われました」


周防は悲しみを堪えながら説明した・・・故郷の世界、仲間たち、すべてが失われたのだ


「あっ、そうだったのか」


魔帝はまるで他人事のように返事をした


周防は魔帝の反応に唖然とした・・・


前世でも、この魔帝は恐ろしいほど強かったが、他の事はまったくの無関心で、龍王を始め、すべての部下に政務を丸投げし、自分はずっと寝ていた


その性格を思い出し、だんだん腹が立っていた


「貴方様を慕ってきた者たちは滅んだのですよ!慈悲の心はないのですか!」


周防は抗議した・・・しかし、魔帝の答えは予想通りだった


「死んだ後、お前らみたいに転生して生き返るのだから良いのだろう」


「・・・・・」


周防は落胆した・・・前世と何も変わっていない


この魔帝、強さ以外は本当に何も考えていない・・・


魔帝は急に威圧した声で言った


「とにかく龍人のメスよ・・・余はまだ暴れ足りないぞ!!!お前、死んでも知らないからな」


そう言うと、魔帝は周防に向かって攻撃を仕掛けた


高校生の身体でありながら、その動きは超人的だった


「ヒルガデント様!!!」


周防は慌てて回避した


記憶を取り戻した魔帝の攻撃は、先ほどの摩緒とは比べ物にならないほど鋭く、殺意に満ちていた


「やはり魔帝様です!!!この戦闘狂ぶりは間違いありません」


周防は複雑な心境だった・・・確かにこれは自分が知っている魔帝ヒルガデントだ


しかし、その性格の悪さも含めて、すべてが蘇ってしまったのだ


魔帝は容赦なく攻撃を続けた!!!拳、蹴り、そして徐々に異能力も混じり始める


砂浜の砂が宙に舞い、海水が逆流し、まるで自然現象すべてが魔帝に従っているかのようだった


「これが・・・真の魔帝の力」


周防は戦慄した・・・高校生の身体でありながら、その力は確実に前世の魔帝に近づいていた


しかし同時に、彼女は気づいていた


この魔帝と、先ほどまでの摩緒という少年の間には、大きな違いがあることを・・・


摩緒の優しさや仲間思いの心は、魔帝の記憶と共に消えてしまったのだろうか・・・


戦いは激しさを増していく


砂浜は二人の力によって荒れ果て、まるで戦場のような様相を呈していた


果たして、この戦いの行方は・・・・・


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