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第5話「勇者の登場」

魔帝の攻撃は容赦がなかった・・・高校生の身体でありながら、その拳には前世の記憶に基づいた殺意が込められている


周防は必死に氷の盾を作り、防御に徹していた


「氷壁!」


周防の前に巨大な氷の壁が立ちはだかる


しかし、魔帝の拳はその壁を粉々に砕いた


氷の破片が四方に飛び散る中、魔帝の次の攻撃が迫る


「氷槍連射!」


周防は反撃を試みた


複数の氷の槍が魔帝に向かって飛んでいく


しかし、魔帝は砂浜の砂を操り、砂の竜巻を作り出して全ての氷槍を弾き飛ばした


「遅い!!!」


魔帝は瞬時に周防の懐に潜り込んだ


その速度は前世の龍人のオスの身体なら何とか対応できたかもしれない


しかし、今世では女性として転生したため、体力的にまったくついていけなかった


「がはっ!」


魔帝の拳が周防の腹部に深々と突き刺さった


周防は砂浜に倒れ込み、苦痛に顔を歪めた


「弱すぎる・・・龍人のメスでは物足りないか」


魔帝は冷たく言い放つと、倒れた周防の首を掴み上げた


周防は息ができずに苦しみ、足をばたつかせた


「仕方がない・・・近くに町を探して、破壊し尽くすとしよう」


魔帝は呟きながら、周防に止めを刺そうと拳を振り上げた


その瞬間!!!


『シャキン!!!!』


鋭い光の刃が魔帝の腕を切断した


魔帝は驚いて後ろに跳び、切断された腕から血が流れ出た


「魔帝よ、好き勝手にはさせないぞ!!!」


上空から声が響いた・・・光の剣を持った高校生が、まるで天使のように舞い降りてきた


その高校生は周防の前に立ちはだかり、守るような姿勢を取った


「はあ・・・はあ・・・」


周防は首を押さえながら息を整えた


その高校生が振り返る


「周防先生・・・いや、龍王ヒョーデル、久方ぶりですね」


高校生は優しい笑みを浮かべた・・・その顔は!!!


「君は・・・緒方くん・・・いや、やはり貴方は、勇者だったのね」


周防は驚きながらも確信を込めて言った


「魔帝を起こさないよう・・・摩緒を見守っていたのですが」


博輝は溜息をつきながら、周防に手をかざした


「ヒール」


温かい光が周防を包み込み、傷がみるみるうちに回復していく


その様子を見ながら、魔帝は切断された腕を元の位置に当てた


暗いオーラが腕を包み、瞬時に元通りに再生された


「おい、ヒューマンのガキ、お前何者なのだ?」


魔帝は博輝を睨みつけた


「やれやれ・・・幼馴染の名前を忘れたのかい」


博輝は肩をすくめた後、真剣な表情になった


「魔帝、何も覚えていないのだな・・・私は、勇者エルダだ」


魔帝はキョトンとした表情を見せた・・・しかし、次の瞬間、不敵な笑みを浮かべた


「確かに・・・この久しぶりに感じるこの威圧感!!!確かに余と渡り合ったヒューマンだ、いいね〜〜〜もうひと暴れできそうだ」


魔帝は興奮気味に言うと、博輝に向かって攻撃を仕掛けた


魔帝の拳が、博輝に向かって飛んだ


博輝は光の剣でそれを受け止めた


金属音が響き、衝撃波が砂浜に広がった


「はあああ!」


魔帝は連続で拳を繰り出した


博輝は光の剣を巧みに操り、全ての攻撃を受け流した


「聖光弾!」


博輝の手の平から光の球体が放たれた


魔帝は砂の壁を作り出してそれを防ぐ


「面白い!!!」


魔帝は喜び勇んで、さらに激しい攻撃を仕掛けた


砂浜の砂を巨大な拳の形に変え、博輝に向けて放つ


博輝は光の盾を作り出してそれを防いだ


「重力操作!」


魔帝は重力を操り、博輝を地面に押し付けようとした


しかし、博輝は光の翼を展開し、重力の影響を相殺した


「流石は勇者エルダ・・・だが、まだまだ!!!」


魔帝は海水を操り、巨大な水の竜を作り出した


その竜が博輝に襲いかかる


「聖光剣・天翔!」


博輝は光の剣を大きく振り上げた


剣から放たれた光の斬撃が水の竜を両断した


しかし、戦いが長引くにつれ、博輝に疲労の色が見え始めた


「長年の身体の鈍りか・・・」


博輝は息を荒げながら呟いた・・・魔帝の攻撃が徐々に重くなってくる


「どうした、勇者エルダよ!!!もう終わりか!!!!」


魔帝は楽しそうに言いながら、さらに攻撃の手を緩めなかった


博輝は防戦一方になり、押され始めた


そんな時!!!!


「氷帝奥義・絶対零度領域!」


周防が立ち上がり、魔帝の後方から攻撃を仕掛けた


周囲の温度が急激に下がり、魔帝の動きが鈍った


「龍王!!!」


博輝は周防の助太刀に感謝の表情を見せた


「聖光剣・連舞!!!!」


博輝は光の剣を高速で振り回し、魔帝に連続攻撃を仕掛けた


魔帝は氷に足を取られ、うまく回避できない


「氷槍大連射!」


周防も同時に攻撃を仕掛けた


無数の氷の槍が魔帝を包囲する


「聖氷合体奥義・極光氷刃!」

博輝と周防が同時に叫んだ


博輝の光の力と周防の氷の力が融合し、巨大な氷の光剣が形成された


その剣が魔帝に向かって振り下ろされる


「これは・・・」


魔帝は目を見開いた・・・しかし、その表情には恐怖ではなく、満足そうな笑みが浮かんでいた


『『ドゴォォォン!』』


巨大な爆発音と共に、砂浜に大きなクレーターができた


煙が晴れると、魔帝は満足そうな表情で倒れていた

「ふ・・・やるじゃないか・・・・」


魔帝は微笑みながら意識を失った


その瞬間、摩緒の優しい表情が戻ってきた


「これで・・・一安心ですね」


博輝は光の剣を消しながら、ほっと息をついた


「ええ・・・でも、これからが本当の始まりかもしれません」


周防は複雑な表情で、眠る摩緒を見つめていた


魔帝の記憶を持つ摩緒と、これからどう向き合っていけばいいのか・・・


それは大きな課題となったのだ


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