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第23話「深夜の封印騒動」

摩緒の家の上空に浮かぶ“酔っぱらいの桜井”が、木の枝を掲げて魔法をかけると・・・


『パリーン!』


摩緒の部屋の窓が割れ


「うわあああ!何だ何だ!?」


摩緒はびっくりして起き、割れた窓から外を見ると、部屋着で木の枝を持った酔っ払いの桜井が月夜に浮かんでいた


「え・・・桜井先生?なんで空に浮いてるんですか?」


摩緒は目を擦った


「しかも部屋着で木の枝って・・・まさか魔法少女のコスプレ?」


「魔法少女じゃないわよ!あたしは偉大なる大賢者よ!」

桜井が怒りながら答えた


(何じゃそりゃ・・・)

怪訝そうに桜井を見上げる摩緒


「それより、楠木摩緒!!!あたしの平穏な日常の為に、封印されなさい!」


いきなり封印の魔法をかけようとする桜井


摩緒は危険を察知し


「とりゃ!!!」

素早く窓から脱出して隣家の屋根に飛び乗った


桜井は摩緒の尋常じゃない身体能力に驚いた

「え?普通の高校生がそんなジャンプ力ある?」


逃げる摩緒を追いかけながら封印の魔法を仕掛けるが、ちょこまかと動く摩緒に苦心する


「じっとしてなさい!」


「封印魔法・拘束」


「うわっ!」


摩緒は屋根から屋根へと飛び移りながら逃げ回り、桜井の魔法の衝撃で、次々に屋根の瓦が剥がれていく


「桜井先生!住宅に損害を与えてますよ!」


摩緒が咎めると、桜井が説明した


「大丈夫よ~~~すでに周辺住民に深い眠りの魔法をかけてるし、後で修復する魔法で対処するから~~~」


「え~~~、修復する魔法まであるんだ~~~」

摩緒は驚いたが、すぐに異能力を発動させた


「だったら、遠慮なく!」

周りの物・・・瓦、看板、洗濯物・・・が宙に浮かび、桜井に向かって飛んでいく


「きゃ~~~!」


桜井は摩緒の異能力に驚きつつ、防御の魔法で


「防御障壁!!!!」


次々に、摩緒の異能力で飛ばした物を防ぎ切ったが、その間に摩緒は何処かに消えていた


「あれ?どこ行ったの?」

桜井が周りを見渡していると・・・


「とりゃ!!!」


摩緒が桜井の背後に回り、異能力で桜井を近くの公園の砂場に突き飛ばした


『ドスン!』


桜井は痛がりながら立ち上がった


「痛い!何するのよ!」


桜井が抗議すると、摩緒が桜井の前に現れた


「何故、僕に攻撃を仕掛けてきたの?」

摩緒が疑問を問うと、桜井が解説した


「君がこの世界を破滅する魔帝の転生者だからよ!」

「この世界の平穏の為に、あたしの平穏の日常の為に封印されて!」


桜井が封印の魔法をかけようとした時、摩緒が質問した


「封印された僕はどうなるの?」


「寿命が尽きるまで植物人間状態ね」

桜井が平然と答えた


「そんなの嫌だ!」


摩緒は異能力で自身を浮上させ、上空に向かって逃げた


「お行儀が悪いわよ」

桜井も空中に浮かび、逃げる摩緒を追った


やがて摩緒は雲の中に隠れた


桜井は魔法で雲を払い除けた


「排除!!!」


雲が晴れて摩緒を追い詰めたが、摩緒は異能力で雲を使って

「雲煙幕!!!」


桜井の目の周りに雲を覆い隠し


「きゃ~~見えない!!!!」


必死に、雲をどけようとする桜井の隙を見て奇襲


流石の桜井も摩緒の奇襲を読み、防御の魔法で防いだが、女性の力では男子生徒の力に敵わず、どうしても後退りさせられる


封印の魔法をかけるまでのタイムラグができてしまい


「もう、なりたくてもなかったのに〜〜」


桜井は形振り構わず、前世の“エルフの大賢者”の姿となった


煌めく金色の髪に、眩い蒼い瞳、透き通った肌の肩をさらけ出した妖艶な服装、そして神秘的な装飾を施した立派な杖を持っていた。


「うわ・・・耳が尖って・・・これがエルフなんだ、凄い」


摩緒が、アニメや漫画でしか見た事の無い“生エルフ”が見れて感嘆し褒めていた



「いいでしょう~~」

桜井は満更でもなかった


「でも、幼く見えるね」

摩緒が桜井の琴線に触れることを言った


「だから、前世の姿になりたく無かったのよ!」

幼児体型のエルフの桜井がキレた


「やばい!!!」


摩緒が逃げようとした瞬間、桜井が摩緒の動きを止めた


「束縛魔法・完全拘束!」

「やっぱり、前世の姿だと、魔法詠唱のタイムラグが短くて済むから良いわ」

「もう諦めなさい・・・魔帝の転生者くん」


桜井が動きを止めた摩緒に封印の魔法をかけようとした時・・・


「やめるんだ!!!ランファン!!!!」


博輝が摩緒の前に現れた


「楠木君!!!」


同時に周防も現れ、摩緒を抱きかかえてその場から離した


周防の胸に顔がうずくまった摩緒は、周防の意外に大きなバストに感心と、恥ずかしさと、息苦しさと、色んな要素が重なり、顔が赤く火照った


「す、周防先生、大丈夫です・・・離して下さい」


摩緒が懇願すると、周防は至って普通に答えた


「押さえ過ぎたみたいね・・・ごめんなさい」


周防が摩緒を離すと、心配そうに声をかけた


「楠木君、大丈夫だった?」


摩緒は周防の可愛いドラゴンの絵柄が入った部屋着姿に、学校での凛とした周防とのギャップに笑いが溢れそうになるのを我慢して、顔が真っ赤になった


「だ、大丈夫です・・・」


「でも、顔が真っ赤よ」


周防に、天然で心配されてしまい、困惑する摩緒であった


「何でこんな時に、エルダが現れるの!」

桜井が叫んだ


「もう封印の魔法は止められないよ〜〜!」

桜井は勇者を封印してしまうのかと絶望してしまった


「ちょっと待って~~~」

「やばいやばいやばい!」

「エルダを封印したら、この世界本当に終わっちゃう!!!!」


パニックになった桜井の封印魔法が暴走し始めた


「うわああ!魔法が止まらない!」


桜井が慌てふためく中、封印魔法の光が博輝を包み込んでいくのだった


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