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ドワーフの基礎は採掘ってわーけ

 私はツルハシを振り下ろす。

 ガンと地面にツルハシが刺さる感触が手に伝わり、ここがゲームではないと改めて認識させてくる。じゃあ、私は実際に自転車に潰されて、このずんぐりさんなドワーフになっちゃったってわけ?

 そりゃないと思うけど、それでも私は採掘をするしかない。

 部屋から出たらすぐに左右に分かれた通路があり、左に進めば突き当り、右に進めば初戦闘のチュートリアル部屋が存在している。

 というか、そのチュートリアルに別のドワーフが存在するのなら、私って何者になるんだ?


 まぁ、考えるだけ無駄かもしれない。なので、私はツルハシを振り下ろす。上から下へ、ガツンと。

 ゲームだと掘れる地点を検知するとピコンとピンが視界に表示される。そこに近づいて、ツルハシを使用すると、針が一本だけの時計みたいなのが出て来る。その針が円の周りにある赤いピンと重なるタイミングでボタンを押すと鉱石が掘れる。

 ここだと掘れる場所とかタイミングは変わらないけど、ボタンを押す代わりにツルハシを振り下ろす。


 ガツンと高らかと音が響く。


 この手のQTE的なのは得意けど…


 ボツンと情けない音が続く


「リアルでツルハシは流石に無理ゲーだよぉ!!」


 私は叫ぶ。

 そもそもここは廃坑なので、これで取れるアイテムはゴミの屑石のみ。運良かったら鉄鉱石の欠片かな?

 なのでするだけ無駄だけど、ドワーフの特性である採掘するだけでステータスに補正が掛かる。これはどのドワーフにも共通のはず。


 人種ステータスというのはその人種なら確定で持っている能力だからね。ヒューマン種は武器補正が全て優秀になるし、エルフは矢のストックが無限になるし、ゴブリンは自動回復がある。

 その中でもドワーフの特性と言うのは大器晩成型。なので3ステージ周回が前提のマルチだと使いづらくなる。


 でもここは違う。多分だけど、ソロのストーリーをなぞり攻略していく。

 ならば採掘は必須。ドワーフというのは採掘で強くなっていく。私は詳しいんだ!


 ガツン!と綺麗な音が響く。

 全10回のQTEにて成功は6回。その内クリティカルを生み出したは1回のみ。

 そして、ステータスは


///

マイ

LV:001 0%

種族:ポピュラー・ドワーフ

生存値:ERROR

体力値:50

攻撃値:60(+5)

防御値:50(+5)

魔法値:30

魔導値:30

器用値: 5(+1)

///


 んー。正直、全部失敗でも採掘したことで補正は掛かる。実際に全て失敗したパターンの補正値と全てクリティカルの大成功をしたパターンの補正値に変更点はなかった。

 アイテムに対してのみ影響力あるし、失敗前提の即押し連打でも時間的なロスは抑えれるわけでもなかった。

 いや、検証すべきか?


 ストーリーモードなのにドワーフで進めている時点で何か違うと思う。もしかしたら、成功回数分だけ上がるのか?

 この廃坑ではあと二つの採掘ポイントがある。あったはず。

 私は回りを見渡す。本来ならもっと暗いはずなのに妙な明るさにドワーフの設定が反映されいるのかな?

 この世界においてドワーフは魔法鉱山マジインズの奥底で眠るドラゴンの子孫なのよね。なのでドワーフは鉱山の中で生活するし、生活環境が環境なので光の少ない環境でも適応しちゃっている。


 そんなドワーフたちは鉱物を採取してはそれをドラゴンに捧げる習慣がある。

 ドラゴンはまだ生きてる。そのドラゴンを満足させるために、ドワーフたちは鉱山の開発と独占をして、その結果、ヒューマンの領域とエルフの森を攻撃しちゃって、戦争が勃発しかけた。

 でも、ヒューマンやエルフはドラゴンの力を恐れた。戦争を行った場合、確実にドラゴンが来るとわかっていたから。ではドワーフと戦争せずにダンジョンに侵入して、ドラゴンを倒そうと主人公が勅命で旅に出た。

 ドワーフが主人公と敵対する理由は単純にドラゴンを守る為。単純なお話でした。


 と、あったあった。

 私は新しいスポットにツルハシを振り下ろした。今回は全部外れる様にツルハシを少しだけ持ち上げて降ろすを繰り返した。

 ボツ、ボツ、ボツと失敗音が10回響いた。成果はなしになったけど


///

マイ

LV:001 0%

種族:ポピュラー・ドワーフ

生存値:ERROR

体力値:50

攻撃値:60(+10)

防御値:50(+10)

魔法値:30

魔導値:30

器用値: 5(+2)


///


 連続失敗なら行けるね。私は三つ目のスポットで同様にツルハシ連打を行い、攻撃値と防御値をそれぞれ15ずつ上昇、器用値は3上昇させた。

 ちなみにこれでも主人公の初期ステータスよりも低い。そもそもマルチのプレイアブルよりも低い。

 主人公は攻撃値が80もあったし、プレイアブルたちは最低でも一つはレベル1の段階でも100超えていた。


 一般ドワーフはやはり弱いのかもしれない。私はがっくりとした気分を抱えながらもその足で戦闘チュートリアルへと向かっていった。

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