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第14話

馬車での移動中、レベルアップした分のステ振りとスキルを取得することにした。


ステータスはI(知能)に2ポイント、S(筋力)に1ポイント振る。


D(器用さ)が1でも完全気配遮断状態から敵が油断しているところを狙えば命中することが先ほどの戦いでわかったので1のままに、今はSP量と攻撃力のステータスを伸ばすことにした。


スキルは【鉱石ドロップ】を取得。【マイニング】を使って鉱物を堀った際、追加でランダムな種類の鉱石が落ちるというパッシブスキル。マイニングは攻撃でも使うし、とっておいて損はないだろうからな。


Name:Hide(BassLv4)

Job:miner(JobLv2)

HP:21

SP:43

Status:S(筋力)10、V(持久力)1、A(素早さ)1、D(器用さ)1、I(知能)11、L(運)1(Rest0)

Skill:完全気配遮断、言語理解、鑑定、マイニングLv1、鉱石ドロップ

所持金:4123arc



馬車に揺られること数時間、ようやく銀鉱山の宿場町に到着した。


現在時刻はだいたい昼下がりというところ。今から銀鉱山の下見を軽くするかどうか迷うところではある。とりあえず、宿場町を見て回ろう。


大銅貨1枚で一泊だけ宿をとった俺は、宿場町をぶらぶらすることにする。

通りを歩いていると、鉱山ギルドの出張所、鉱山装備などが売っている雑貨商店、鉱山焼きという今川焼みたいなのを売っている露店があった。


小銅貨1枚で買った鉱山焼きを頬張りつつ、雑貨商店で装備を物色。俺の頭に先ほどゴブリンに脇腹をやられたおっちゃんの顔がチラつく。


「いくら完全気配遮断があるとはいえ、鎧はいるよね……」


軽そうな【皮の鎧】と【皮のヘルメット】、【皮のグローブ】が売っていたので大銅貨8枚で購入。草食動物の皮で作られたもののようで、鉱夫用の防護服として売られていた。


良い買い物をして気分がよくなった俺は、やっぱり銀鉱山を軽く下見をすることにした。


銀鉱山の入り口の警備兵にルベン議長からもらった採掘許可証を見せ中に入る。あまり奥の方には行かないように気を付けつつ、適当に【マイニング】を使いながらツルハシで掘る。SP回復休憩を挟みつつ掘る。掘ったものを鑑定して、無価値な土石と鉱石をより分け、鉱石だけをインベントリに入れるという作業をひたすら繰り返す。


単純作業って無心になれていいよね。


そうやって黙々と作業していると、不意に地面がぼこぼこぼこ! と盛り上がり、デカいモグラのようなモンスターが現れた。メタリックな質感をしており、カンテラの光が反射している。


鑑定してみると【シルバーモール:銀鉱石を食べ体が銀に変化したレアモンスター】と出た。レアモンスター! 倒さねば! 俺の目がドルマークになる。


俺は完全気配遮断をアクティベート。後ろに回り込み、シルバーモールの頭蓋骨をマイニングっ!!


そう気合を入れてツルハシを振り下ろしたが、シルバーモールにひょいと避けられてしまった。


SP切れで完全気配遮断が解けてしまい気づかれたか!


体勢を崩したところにシルバーモールの重たい一撃が俺の腹部を襲う。


「ぐはっ」


吹っ飛ばされた俺は、壁に叩きつけられ地面に倒れる。ヤバイ、目の奥がチカチカする。ステータスを見るとHPが残りわずかしかない。今のをもう一発喰らえば確実にあの世行きだろう。


ノシノシとこちらに近づいてくるシルバーモール。万事休す。

そう覚悟を決めたと同時に閃いた。


まだ策は……あるっ!


俺はビギナースキル【死んでるふり】を発動。30%の確率で敵のターゲッティングを外す、九死に三生を得るという感じの微妙スキル。


だが今はこれに賭けるしかない。


祈るような気持ちで息を殺していると、鼻をひくひくさせていたシルバーモールは俺に興味を失ったように、踵を返していった。


ふー……。なんとか助かったか……。


だが同じフロアにまだ奴はいる。油断はできない。

……というかむしろこれはチャンス。


俺は息を殺してSPを回復させつつ【民間療法】で負傷した体を治療する。

HPSPが全快したところで、再び完全気配遮断を発動。シルバーモールを探す。


……いた。壁際で何かの鉱石を一心不乱に食べている。


俺は気配を殺したまま近づき……、シルバーモールの頭蓋骨(たぶん銀)をマイニングっ!! ズガッ!!!


鉄のツルハシを敵頭蓋骨目がけて振り下ろし、シルバーモールを倒したのだった。


と同時ににレベルアップの情けないファンファーレ音が鳴った。ステータスウィンドウを確認するとベースレベルとジョブレベルが一気に2上がっていた。やったぜ。


シルバーモールの死骸をアイテムインベントリに入れたところで、限界所持重量が70%オーバーとなってしまった。これではSP自動回復ができず、今みたいな状況になると詰んでしまう。


装備を確認すると皮の鎧が見るも無残な状態になっていた。買いなおさないといけないが、これがなかったらおそらく死んでいたかと思うと、装備しておいて本当に良かった。


……一旦帰ろう。アイテム整理は宿屋ですればいい。


鉱山の出口に引き返した俺は警備兵に挨拶し鉱山を出る。

宿屋への一本道を歩いていると、遠くに豪華な二頭立ての馬車が停まっているのが見えた。


御者が馬車の扉をあけ中から人が二人降りると、誰かが急いで駆け寄ってペコペコ頭を下げている。なんだろう?


さらに近づいてみると、そこにいたのは先日酒場でルベン議長の娘さんを拉致監禁する悪だくみをしていたオーエン市議会改革派のミゲル議員とヤフコフ議員だった。


ペコペコしている奴と何を話しているのだろうか? きっとどうせろくでもないことに違いなかった。


俺は完全気配遮断をアクティベート。近づいて聞き耳を立てることにした。

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