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第4話 LOVE NEST(ラブ・ネスト)


「うち、来る?」と神森かみもり貴之たかゆきは、僕、鴻巣こうのす涼介りょうすけに行ってきたので、僕は、「あれ、実家暮らしじゃなかったっけ?おたがい」と言ったのだった。


 神森は、「よく覚えてましたー」と言って、僕の頭をでしてきた。

 こ、こいつ・・・


「えっーとさあ。ノッスははじめてなんだよね?」

 ノッスとは僕のあだ名であり、神森のあだ名はミモリである。そして、はじめてというのは性的な体験のことだった。


「う、うん・・・」


「知ってる?男同士じゃあ入れない、ラブホって結構けっこうあるんだよ」と言いながら神森は彼のスマホをイジっている。


「おっ。あった、男同士で入れるとこ。五反田ごたんだの『LOVE NEST』だって」


「愛のかぁ〜」と僕はつぶやいた。


「なんだって?」


「なんでもない」



 五反田。LOVE NEST。


 ラブホの部屋に着くなり、神森はベッドにせるなり、グーグーと眠りについてしまった。シャワーも浴びてないし、服も着たままだ。


 どうせ、こんなことだろうと思ったんだ、僕は・・・

 期待したのがバカみたいだ。

 そう思って、しかし、ラブホテルなるものに来るのがはじめてだったので雰囲気を楽しみつつ、一人でシャワーをびた。

 ラブホの浴槽って結構広いんだなー、場所によるのか。カラオケもあるらしいし、聞くところによるとラブホのメシもそこそこ食えるらしい、なんて神森以外のところでワクワクしていたけれど・・・


 だが、すぐそこで神森が無防備むぼうびな状態でいることに思いをせると、僕の下腹部かふくぶは刺激された。


 そして、たまらず、神森が寝ているベッドのところまで行き、寝返りをうってちょうど僕のほうを向いている彼のかわいい顔を見ながら、僕は自分でいたした。


 フゥ・・・。


 いったん、僕の中の動物的なるものは落ち着きを見せてくれた。僕はティッシュで精液をふき取りながら、神森の唇にキスをしてみるのはどうだろうと考えた。


 さすがに、犯罪か!?

 でも、ここに来たって、ことは、同意!?

 う・・・うん。

 まあ、いいや。

 うったえられた時はその時はその時、そんな気持ちで、僕は神森の寝ている唇に自分の唇を重ねた。


 なんか、ベットリするな・・・

 吸い付くみたいだ・・・

 それが、僕の人生初キスの感想だった。


 すると、突然、神森が目を開けた。


「はい。不同意わいせつ〜」


 彼は、僕を責めた。


 僕は、ベッドの隣に土下座をして、神森に頭を下げた。


「ごめんなさい。つい、しました。許してくれとは、言いません。もう、警察でもなんでも」


 神森の手が僕のあごを上に上げようとする。


「おい。顔見せろ」


 僕はかたくなに頭を下げるのをやめない。


「いいから。顔見せろ」


 僕はかたくなだ。


「おい、お前。いい加減にしろよ。ふざけんなよ」


 僕の目には涙がたまってきた。

 そして、ついにこらえきれず、顔を上げた。


 すると、神森が彼の唇を僕の唇に重ねてきた。

 そして、さっきはできなかった、舌を入れる行為、いわゆるディープなやつをやってきて、僕は彼の舌を受け入れ、そして、彼は僕の舌を受け入れた。


 神森は、キスを終えると、僕の頭をポンポンとはたきながら、「な。気にすんなよ。俺はなんとも思ってない」と言った。


「つ、つづきは?」と僕は聞いてみた。


「だって、さっき、自分でイっちゃってたじゃん?」


 彼はそう言った。


「見てたの?」


 僕は顔がになった。


「イくとこ、ちゃんと見てたよ。いまさら、ずかしいことあるかよ」


 そう言って、神森は僕にまくらを投げてよこした。



【つづく】

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