裃左右
文芸・その他純文学
2025年07月23日
公開日
1,992字
完結済
「では、赤を添えた」
ただ、点。パラフィラジカルな熱線は、熔けるまでにオレフィンシートに包まれることを拒絶した。
意味の地平で凍え固まるクイックシルバー。
化石の道、足裏で刻む死者の羽音。アンキローシスによる冷たい火傷。
硝子の鳥籠、歌わぬ一羽の心臓。
水底に沈んだ砂糖菓子、輪郭は甘く崩れて色を明け渡す。
地平の果て、影を編む。無価値の絨毯、退屈とお前が呼ぶもの。
疲れ果てた名もなき、獣が寝そべる。貴様が呼んだのに。あれこそが我らが描くべき原風景。
「なぜ、手があるのに、口があるのに、使わない?」
その問いは、無理解への狼煙。
これはあなたが「退屈」と呼ぶものに、ナイフを突き立てる物語。