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ー鼓動ー48

 雄介にそう言われてやっと自分が雄介に向かってしてしまった行動に恥ずかしくなって来てしまった。


「ま、まぁ、人っていうのは、間違う生き物なんやし、そこは仕方ないやんか、この世には完璧な人間っていうのはいないって事やんなぁ」

「え? あ、まぁ、そうだよな」


 とりあえず俺は雄介の言葉に納得しておく。


 そして次の駅で乗り換えて後は最寄りの駅に向かうだけとなった。


 懐かしい街並み。


 島にはないビル。


 島にはない電車。


 島には無いような住宅街。


 本当に今の俺からしてみたら、どこもかしこも懐かしく感じる位だ。


 そして後は島以上に人がいるという事だろう。


 しかも島では何処を歩いていても顔を見知った人ばかりなのだけど、東京という街では何処を歩いていても誰一人知ってる人は少ない所だ。


 俺達がこうやって電車の中に乗っているだけで、常に携帯やパソコンを弄っているサラリーマン、お化粧バッチリなOLさんと本当に知らない人ばかりなのが東京だ。


 それと東京という街並みというのは、島と違って時の流れを早く感じてしまっているように思える。


 きっと島には東京のように動きが無いから時がゆっくり進んでいるように思えるのであろう。


 東京というのは環状線となると朝の通勤通学時間ピーク時には三分に一本という時間で電車が動いている。今は平日の昼間だからか、五分から十分とかの勢いで電車は動いているもかもしれないのだけど、それでも本当に本数というのは多い。


 色々な事を感じている間に電車はいよいよ春坂駅に到着したようだ。


「やっと、着いたー!」


 と気付いた時には雄介が大声でそう言ってしまっていた。


 ま、でも今の雄介の気持ちは分からなくはないかな? だけど俺の性格ではそう大きな声でっていうのは出来ない。


 そこからスーツケースを引っ張ってロータリーへと出る。


 もう流石に歩きたくはない。


「タクシーで帰ろうか?」


 俺がそう思った直後に雄介がそう提案して来てくれた。


 勿論、その雄介の提案のは賛成だった。


「そうだな。もう、俺が家まで歩きたくなかったからな」

「そういう事やんな。ま、俺もそう思うてた所やったし」


 そう言うと昼間のタクシー乗り場というのは空いている。俺達はすんなりとタクシーに乗る事が出来た。もう後はタクシーが家まで俺達の事を運んでくれるのを待つだけだ。

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