### 卑猥な大群
カズは湯船の縁に背中を預け、目を閉じて溜息をつく。
練習後の疲れがじんわりと染み出している。
肩まで湯に浸かり、心地よい熱さに身を任せていたその時、風呂場にどやどやと大勢の男たちが入ってきた。
「うおー、熱っ! でも気持ちいいなあ!」
「ああ、これだから合宿は最高だよな!」
笑い声と水音が風呂場に響き渡る。
カズは目を開け、思わず目で追ってしまう。
そこには、もう一つの意味で圧倒的な「大群」が広がっていた。
皆、隠す気配もなく、裸のまま風呂場を闊歩している。
そしてその「モノ」は、どれもこれも尋常ではない大きさだった。
カズは思わず目をそらしそうになるが、それと同時に、なぜか目が釘付けになってしまう。
一年生の連中はまだ未熟な感じもするが、それでも普通の男子よりは明らかに「それなり」だ。
だが、やはり目を引くのは先輩たちのそれだった。
筋肉と同じように、鍛え上げられたかのように発達し、湯船に浸かるたびにぷるんと揺れる様は、まるで別の生き物のようだ。
「うわ、マジでデカすぎだろ⋯⋯」
カズは思わず呟いてしまう。
声には出さなかったが、心の中で何度も「異常」と呟いていた。
湯船の端に腰かけた先輩が、軽く足を開いた。
その瞬間、カズの視線は釘付けになる。
その「モノ」は、湯に濡れてぴんと張り出し、先端は赤く色づいていた。
毛は全て剃り上げられており、肌の滑らかさがいやらしく光っている。
「⋯⋯はぁ⋯⋯」
カズは思わず息を呑んだ。
それと同時に、股間がわずかに反応してしまうのを感じて、慌てて太ももの下に手を滑らせた。
風呂場には、湯気と男たちの汗の匂いが漂っている。
だがそれと同時に、どこか甘く、濃厚なような、それとも鋭いような、妙な「気配」も漂っていた。
「カズ、お前、まだ入ってたのか?」
声をかけられ、はっとして顔を上げる。
そこには、三年のエース、タカシが立っていた。
背筋がぴんと伸びた体格に、肩幅の広さ。
そして、その股間には、堂々と存在を主張する「モノ」が揺れている。
「あ、あぁ⋯⋯ちょっと長風呂しちゃって⋯⋯」
カズはごまかすように湯船の縁をつかんだ。
タカシは軽く笑って、カズの隣に腰を下ろす。
「お前の目、ちょっと泳いでるぞ? 見とれてた?」
「なっ、んなことねーよ!」
カズは慌てて否定するが、タカシはニヤリと笑う。
「いいじゃん、男同士だしな。俺ら、毎日見てんだから。慣れてきた?」
カズは返答に詰まる。
慣れるもなにも、毎日見ていたら慣れるものだろうか?
それとも、逆にどんどん気になっていくものだろうか?
タカシは湯船に浸かりながら、軽く背中を伸ばした。
その瞬間、彼の「モノ」が湯面から顔を出し、カズの視界にさらっと入ってくる。
「⋯⋯」
カズは息を止めた。
先端が濡れて光り、湯船の灯りに照らされて妖しく輝いている。
まるで誘うように、いや、挑発するように。
「カズ、お前、まだ剃ってないだろ?」
タカシが鋭い視線でカズの股間を見た。
カズは反射的に太ももを閉じた。
「⋯⋯うん、まだ」
「そうか。剃ったほうがいいぞ。競技パンツから出るからな。それに、清潔だし。見た目もスッキリするし」
タカシはそう言って、自分の股間を軽く叩いた。
その瞬間、カズは思わず視線をそらしたが、視界の端に映ったそれは、まるで彫刻のように美しく、そしてどこか卑猥に揺れている。
「⋯⋯剃るって、どうやるんだ?」
カズは思わず聞いていた。
「剃るって? バリカンで短くして、あとはT字で丁寧に剃る。剃った後はスッキリするからな。お前もやれよ。俺が教えてやる」
タカシはそう言って、カズの肩を軽く叩いた。
その手の温かさが、なぜか妙に心地よくて、カズは一瞬ドキッとした。
風呂場には、男たちの笑い声と水音が響き渡る。
だが、カズの耳には、それよりも自分の鼓動のほうが大きく聞こえていた。
湯船に浸かりながら、カズはふと、この「大群」に囲まれる日々が、どれだけ続くのかを考えた。
そして、その先にある「何か」に、胸が熱くなるのを感じた。
――これは、ただの合宿じゃない。
カズはそう確信した。