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第14話 卑猥な大群

### 卑猥な大群


 カズは湯船の縁に背中を預け、目を閉じて溜息をつく。

 練習後の疲れがじんわりと染み出している。

 肩まで湯に浸かり、心地よい熱さに身を任せていたその時、風呂場にどやどやと大勢の男たちが入ってきた。


「うおー、熱っ! でも気持ちいいなあ!」


「ああ、これだから合宿は最高だよな!」


 笑い声と水音が風呂場に響き渡る。

 カズは目を開け、思わず目で追ってしまう。

 そこには、もう一つの意味で圧倒的な「大群」が広がっていた。


 皆、隠す気配もなく、裸のまま風呂場を闊歩している。

 そしてその「モノ」は、どれもこれも尋常ではない大きさだった。

 カズは思わず目をそらしそうになるが、それと同時に、なぜか目が釘付けになってしまう。


 一年生の連中はまだ未熟な感じもするが、それでも普通の男子よりは明らかに「それなり」だ。

 だが、やはり目を引くのは先輩たちのそれだった。

 筋肉と同じように、鍛え上げられたかのように発達し、湯船に浸かるたびにぷるんと揺れる様は、まるで別の生き物のようだ。


「うわ、マジでデカすぎだろ⋯⋯」


 カズは思わず呟いてしまう。

 声には出さなかったが、心の中で何度も「異常」と呟いていた。


 湯船の端に腰かけた先輩が、軽く足を開いた。

 その瞬間、カズの視線は釘付けになる。

 その「モノ」は、湯に濡れてぴんと張り出し、先端は赤く色づいていた。

 毛は全て剃り上げられており、肌の滑らかさがいやらしく光っている。


「⋯⋯はぁ⋯⋯」


 カズは思わず息を呑んだ。

 それと同時に、股間がわずかに反応してしまうのを感じて、慌てて太ももの下に手を滑らせた。


 風呂場には、湯気と男たちの汗の匂いが漂っている。

 だがそれと同時に、どこか甘く、濃厚なような、それとも鋭いような、妙な「気配」も漂っていた。


「カズ、お前、まだ入ってたのか?」


 声をかけられ、はっとして顔を上げる。

 そこには、三年のエース、タカシが立っていた。

 背筋がぴんと伸びた体格に、肩幅の広さ。

 そして、その股間には、堂々と存在を主張する「モノ」が揺れている。


「あ、あぁ⋯⋯ちょっと長風呂しちゃって⋯⋯」


 カズはごまかすように湯船の縁をつかんだ。

 タカシは軽く笑って、カズの隣に腰を下ろす。


「お前の目、ちょっと泳いでるぞ? 見とれてた?」


「なっ、んなことねーよ!」


 カズは慌てて否定するが、タカシはニヤリと笑う。


「いいじゃん、男同士だしな。俺ら、毎日見てんだから。慣れてきた?」


 カズは返答に詰まる。

 慣れるもなにも、毎日見ていたら慣れるものだろうか?

 それとも、逆にどんどん気になっていくものだろうか?


 タカシは湯船に浸かりながら、軽く背中を伸ばした。

 その瞬間、彼の「モノ」が湯面から顔を出し、カズの視界にさらっと入ってくる。


「⋯⋯」


 カズは息を止めた。

 先端が濡れて光り、湯船の灯りに照らされて妖しく輝いている。

 まるで誘うように、いや、挑発するように。


「カズ、お前、まだ剃ってないだろ?」


 タカシが鋭い視線でカズの股間を見た。

 カズは反射的に太ももを閉じた。


「⋯⋯うん、まだ」


「そうか。剃ったほうがいいぞ。競技パンツから出るからな。それに、清潔だし。見た目もスッキリするし」


 タカシはそう言って、自分の股間を軽く叩いた。

 その瞬間、カズは思わず視線をそらしたが、視界の端に映ったそれは、まるで彫刻のように美しく、そしてどこか卑猥に揺れている。


「⋯⋯剃るって、どうやるんだ?」


 カズは思わず聞いていた。


「剃るって? バリカンで短くして、あとはT字で丁寧に剃る。剃った後はスッキリするからな。お前もやれよ。俺が教えてやる」


 タカシはそう言って、カズの肩を軽く叩いた。

 その手の温かさが、なぜか妙に心地よくて、カズは一瞬ドキッとした。


 風呂場には、男たちの笑い声と水音が響き渡る。

 だが、カズの耳には、それよりも自分の鼓動のほうが大きく聞こえていた。


 湯船に浸かりながら、カズはふと、この「大群」に囲まれる日々が、どれだけ続くのかを考えた。

 そして、その先にある「何か」に、胸が熱くなるのを感じた。


――これは、ただの合宿じゃない。


 カズはそう確信した。




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