### 射精大会
その日の夜、入浴しようと合宿所の浴場に行くと、二年、三年の先輩たちの射精大会が始まっていた。
浴場には湯気と男たちの熱気、そして何とも言えない獣じみた雰囲気が漂っている。
裸のまま、腰だけを前に突き出している先輩たちの姿に、カズは思わず足を止めた。
「おっ、カズ! おまえも皆んなと一緒に競争するか?」
三年の先輩、佐藤が声をかけてきた。
彼の股間には、見事に反り返った肉棒が揺れている。
すでに興奮しているのか、先走りの汁がツヤツヤと光っている。
「遠慮しとく⋯⋯」
カズはそう言うと、慌てて浴場から逃げ出した。
背中には先輩たちの笑い声が追いかけてきた。
廊下を歩きながら、カズは心の中で呟く。
――陸上の練習だけでも疲れているのに、先輩たちはよくあんな事出来るな。
しかし、あの場にいた先輩たちの顔を見ると、彼らは疲労など微塵も感じていないようだった。
それどころか、むしろ燃えている。
まるで、スポーツの延長線上に射精があるかのように。
カズは浴場に戻る気になれず、そのまま自分の部屋に戻った。
ドアを閉め、背中をドアにつけたまま深呼吸する。
「なんであんなことしてんだろうな⋯⋯」
だが、心のどこかで、少しの気味悪さと同時に、興味も感じていた。
自分もあの中に混ざるべきだったのか?
それとも、あんなことする奴らは変態なのか?
そんなことを考えていると、ふと、先輩たちの声が頭の中で響き渡る。
「よーし、次は誰だ!」
「俺がぶちまけてやるぜ!」
「おまえのより俺のが遠くまで飛ぶんだよ!」
カズは思わず股間を押さえた。
そこは、いつの間にか少し硬くなっていた。
「マジで⋯⋯?」
自分でも信じられない思いで、ジャージの上から触れる。
硬く張り詰めた感触に、カズは顔を赤くした。
「いや、そんなわけねーじゃん⋯⋯」
だが、その硬さは嘘をついていない。
カズはベッドに腰掛けると、ゆっくりとジャージのズボンを下ろした。
中から顔を出すのは、まだ完全には勃起していない、しかし確かな反応を見せているペニスだった。
「なんで⋯⋯?」
カズは自分に問いかけるように呟いた。
だが、答えは見つからなかった。
その夜、カズは眠れなかった。
頭の中には浴場での光景が焼きついていた。
そして、なぜか、自分もあそこで何かを競ってみたいという衝動が拭えない。
翌日の朝、カズは練習場に向かっていた。
まだ薄暗い中、他の部員たちも次々と集まってくる。
「おはよう、カズ!」
声をかけてきたのは、昨日の射精大会に参加していた佐藤先輩だった。
「お、おはよう⋯⋯」
カズは思わず視線をそらす。
だが、佐藤はニヤニヤしながらカズの肩を叩いた。
「昨日は逃げたな。あんないい機会を逃すなんて、もったいないぞ」
「いや、その⋯⋯」
「ああいうのは、ストレス発散にもなるし、なにより男のプライドが磨かれるんだよ。おまえも、ちょっとくらい興味あるだろ?」
カズは返答に詰まった。
ある。
あるけど、それを口に出すのは恥ずかしい。
「まあ、無理にとは言わないけどな。でも、いつかは参加しろよ。おまえも、俺たちの仲間入りだ」
佐藤はそう言って、軽く手を振って去っていった。
カズは立ち尽くしたまま、先輩の背中を見送った。
その日も練習はハードだった。
走り終えたカズは、汗だくになりながら合宿所に戻った。
他の部員たちも、それぞれに疲れ果てた様子で、風呂に向かっていく。
カズも風呂に向かおうとしたが、昨日のことを思い出し、少し足がすくんだ。
「また⋯⋯やるんだろうな⋯⋯」
だが、今度は逃げたくなかった。
いや、逃げたくないという気持ちが、少しずつ強くなっていた。
浴場のドアを開けると、そこにはまた先輩たちの姿があった。
昨日と同じように、裸になり、股間を前に突き出している。
「お、カズだ!」
「来たか、新人!」
カズはドアの前で立ち尽くした。
だが、昨日とは違う。
今日は、少し前向きだった。
「カズ、どうする? 参加するか?」
佐藤が笑顔で誘う。
カズは深呼吸し、小さくうなずいた。
「⋯⋯参加します」
その言葉に、先輩たちは歓声を上げた。
「よし! さすがカズ!」
カズはゆっくりと服を脱ぎ始めた。
手が少し震える。
だが、それは恐怖ではなく、期待だった。
浴場の湯気の中で、カズは自分のペニスを握った。
まだ完全には硬くはないが、昨日よりは反応している。
「さあ、カズ。おまえの番だ」
佐藤が声をかける。
カズは目を閉じた。
そして、頭の中で昨日の光景を思い出す。
先輩たちの笑顔、汗、そして――男の誇り。
そして、カズは握ったペニスを扱き始めた。
「よーし、カズもやる気だな!」
「がんばれよ!」
カズは必死に手を動かす。
自分のペニスが硬くなり、脈打つ感覚に驚きつつも、快感が広がっていく。
そして――。
「出る⋯⋯!」
カズの口から漏れたその言葉に、先輩たちが一斉に注目する。
「来たな!」
「おお、いい飛距離だ!」
カズの精液は、浴場の壁に向かって勢いよく放たれた。
それを見た先輩たちは、またもや歓声を上げた。
カズは息を切らしながら、笑顔になる。
「⋯⋯やった⋯⋯」
佐藤がカズの肩を叩く。
「ようこそ、男の世界へ」
カズは、初めての射精大会を終え、心のどこかに新たな自信を感じていた。
そして、彼の心には一つの決意が芽生えていた。
――次は、もっと飛ばしてやる!