目次
ブックマーク
応援する
いいね!
コメント
シェア
通報

第16話 射精大会

### 射精大会


 その日の夜、入浴しようと合宿所の浴場に行くと、二年、三年の先輩たちの射精大会が始まっていた。


 浴場には湯気と男たちの熱気、そして何とも言えない獣じみた雰囲気が漂っている。

 裸のまま、腰だけを前に突き出している先輩たちの姿に、カズは思わず足を止めた。


「おっ、カズ! おまえも皆んなと一緒に競争するか?」


 三年の先輩、佐藤が声をかけてきた。

 彼の股間には、見事に反り返った肉棒が揺れている。

 すでに興奮しているのか、先走りの汁がツヤツヤと光っている。


「遠慮しとく⋯⋯」


 カズはそう言うと、慌てて浴場から逃げ出した。

 背中には先輩たちの笑い声が追いかけてきた。


 廊下を歩きながら、カズは心の中で呟く。


――陸上の練習だけでも疲れているのに、先輩たちはよくあんな事出来るな。


 しかし、あの場にいた先輩たちの顔を見ると、彼らは疲労など微塵も感じていないようだった。

 それどころか、むしろ燃えている。

 まるで、スポーツの延長線上に射精があるかのように。


 カズは浴場に戻る気になれず、そのまま自分の部屋に戻った。

 ドアを閉め、背中をドアにつけたまま深呼吸する。


「なんであんなことしてんだろうな⋯⋯」


 だが、心のどこかで、少しの気味悪さと同時に、興味も感じていた。

 自分もあの中に混ざるべきだったのか?

 それとも、あんなことする奴らは変態なのか?


 そんなことを考えていると、ふと、先輩たちの声が頭の中で響き渡る。


「よーし、次は誰だ!」


「俺がぶちまけてやるぜ!」


「おまえのより俺のが遠くまで飛ぶんだよ!」


 カズは思わず股間を押さえた。

 そこは、いつの間にか少し硬くなっていた。


「マジで⋯⋯?」


 自分でも信じられない思いで、ジャージの上から触れる。

 硬く張り詰めた感触に、カズは顔を赤くした。


「いや、そんなわけねーじゃん⋯⋯」


 だが、その硬さは嘘をついていない。

 カズはベッドに腰掛けると、ゆっくりとジャージのズボンを下ろした。

 中から顔を出すのは、まだ完全には勃起していない、しかし確かな反応を見せているペニスだった。


「なんで⋯⋯?」


 カズは自分に問いかけるように呟いた。

 だが、答えは見つからなかった。


 その夜、カズは眠れなかった。

 頭の中には浴場での光景が焼きついていた。

 そして、なぜか、自分もあそこで何かを競ってみたいという衝動が拭えない。




 翌日の朝、カズは練習場に向かっていた。

 まだ薄暗い中、他の部員たちも次々と集まってくる。


「おはよう、カズ!」


 声をかけてきたのは、昨日の射精大会に参加していた佐藤先輩だった。


「お、おはよう⋯⋯」


 カズは思わず視線をそらす。

 だが、佐藤はニヤニヤしながらカズの肩を叩いた。


「昨日は逃げたな。あんないい機会を逃すなんて、もったいないぞ」


「いや、その⋯⋯」


「ああいうのは、ストレス発散にもなるし、なにより男のプライドが磨かれるんだよ。おまえも、ちょっとくらい興味あるだろ?」


 カズは返答に詰まった。

 ある。

 あるけど、それを口に出すのは恥ずかしい。


「まあ、無理にとは言わないけどな。でも、いつかは参加しろよ。おまえも、俺たちの仲間入りだ」


 佐藤はそう言って、軽く手を振って去っていった。


 カズは立ち尽くしたまま、先輩の背中を見送った。


 その日も練習はハードだった。

 走り終えたカズは、汗だくになりながら合宿所に戻った。

 他の部員たちも、それぞれに疲れ果てた様子で、風呂に向かっていく。


 カズも風呂に向かおうとしたが、昨日のことを思い出し、少し足がすくんだ。


「また⋯⋯やるんだろうな⋯⋯」


 だが、今度は逃げたくなかった。

 いや、逃げたくないという気持ちが、少しずつ強くなっていた。


 浴場のドアを開けると、そこにはまた先輩たちの姿があった。

 昨日と同じように、裸になり、股間を前に突き出している。


「お、カズだ!」


「来たか、新人!」


 カズはドアの前で立ち尽くした。

 だが、昨日とは違う。

 今日は、少し前向きだった。


「カズ、どうする? 参加するか?」


 佐藤が笑顔で誘う。


 カズは深呼吸し、小さくうなずいた。


「⋯⋯参加します」


 その言葉に、先輩たちは歓声を上げた。


「よし! さすがカズ!」


 カズはゆっくりと服を脱ぎ始めた。

 手が少し震える。

 だが、それは恐怖ではなく、期待だった。


 浴場の湯気の中で、カズは自分のペニスを握った。

 まだ完全には硬くはないが、昨日よりは反応している。


「さあ、カズ。おまえの番だ」


 佐藤が声をかける。


 カズは目を閉じた。

 そして、頭の中で昨日の光景を思い出す。

 先輩たちの笑顔、汗、そして――男の誇り。


 そして、カズは握ったペニスを扱き始めた。


「よーし、カズもやる気だな!」


「がんばれよ!」


 カズは必死に手を動かす。

 自分のペニスが硬くなり、脈打つ感覚に驚きつつも、快感が広がっていく。


 そして――。


「出る⋯⋯!」


 カズの口から漏れたその言葉に、先輩たちが一斉に注目する。


「来たな!」


「おお、いい飛距離だ!」


 カズの精液は、浴場の壁に向かって勢いよく放たれた。

 それを見た先輩たちは、またもや歓声を上げた。


 カズは息を切らしながら、笑顔になる。


「⋯⋯やった⋯⋯」


 佐藤がカズの肩を叩く。


「ようこそ、男の世界へ」


 カズは、初めての射精大会を終え、心のどこかに新たな自信を感じていた。


 そして、彼の心には一つの決意が芽生えていた。


――次は、もっと飛ばしてやる!




この作品に、最初のコメントを書いてみませんか?