青羽イオ
文芸・その他純文学
2025年07月31日
公開日
2,979字
完結済
食べられず、語られず、それでも生まれて──わたしは、糸になる
語ることも、食べることもできず、
ただ命を繋ぐためだけに生まれてきた、ひとつの白い生きもの。
降り積もる雪、ひとりの少女、そして口のない命。
語られぬ思いと、置き去りにされた夢が、静かに繭へと編み込まれてゆく。
あたたかさは言葉ではなく、
祈りのような気配となって、そっとそこに在った。
変わることを恐れる心と、変われぬままの命が、
やがて出会い、そっと触れ合い、結ばれていく。
これは──
言葉を持たぬものたちの、静かで深い記憶の物語。
※本作は「カクヨム」「Tales」「Neopage」にて同時掲載しています。