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第三話「ハチミツ」

「1」


 あれは、そうお母様とデパートで珍しいハチミツの買った帰り時だった。

 私とお母様はエレベーター内に乗るときにはぎゅぎゅうに密になっていたのね。

 そこでお母様は両手でパンと叩くとエレベーター内にいた私とお母様以外、密になっていた人達は消えたわ。

 そして次にエレベーターで密になって私もお母様を真似て何度もするようになったわ。



 ーー「電車内」ーー


「という怪異談よ」

「なんだ?それ」

 みんなの反応はイマイチようだ。

 しかし電車内は相変わらず利用客はぎゅうぎゅうと密なので私はいつものように両手をパンと叩く。

 すると密になった利用客は私たち以外全て消えた。

 みんなは私の怪異談よりも先程のお祓いの方が気になっていたようだ。

 (パン、パン)

 みんなも私を見て真似するようになって私は微笑んでいた。


『次は終点鐘技駅~鐘技駅』


 車内アナウンスが流れて私たちが向かう目的地である。


「おっ?もうすぐつくな」


 草つよしの掛け声により、私たち次の鐘技駅で停車するとき降りた。


「2」


 ーー「黒田洋菓子喫茶店」ーー


「「「「いただきまーす」」」」


 私たちはたっぷりハチミツをかけたホットケーキを食べる。

 もちろん、私たちはまだ小学生なので保護者はついてる。

 保護者は草つよしのお母さんである。

 彼はマザコンであるが草つよしのお母さんはそれなり美人だった。……私ほどでもないけどね。


「ねー?アレを見て!」


 ふと亜華葉が指をさした同時に大軌はムシをかける。亜華葉の人差し指は災いが降りかかるので、私たち八木家にとっては監視対象であるから注意深く見てる。

 で、その指す方向には緑色をした蝶々に見えるがヒトのように見える。そう、童話に出てくる妖精のようなモノだったから。妖精は複数集まってるがなぜか周囲は草つよしに集まっているのは草が生えない。

 私たちはその妖精に見惚れていると、どこから「カル!」と叫ぶ男性の声がした。


「草?虫先生じゃないですか。どうしてここに」


 草虫男は何故か肩の息を鳴らしてる。そこにいた妖精は忽然と姿を消した。


「そいつはヤバいモノだからな。ごく稀に生者の生気を吸い取るからな。このはな」


 私たちはそれを聞いて肩がブルっと背筋が凍りついた。

 その当人である草つよしはまだ事の重大さに気づいてない。


「ま、妖精にはまちまちだからな。中には幸せを運ぶ妖精だっているからな」


 と、虫男はちゃっかり自分のホットケーキを注文する。


「草虫先生は見た事あるんですか?幸せを運ぶ妖精を」


 と、大軌が質問すると答えた。


「ああ。見たことあるぞ。以前から、俺が昆虫採集してるのはこの妖精を見つけてるからだ。そうだな。俺がーー」


 と、草虫男は当時のことを語り懐かしむように語り継ぐ。その草虫男の語る妖精に関して私も妖精を一度見てみたいなと思った。


 ハチミツ 完



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