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第二十三話「パクルナ!」

「1」


 ーー「八木家」ーー


「ただいま!」

 猫柄の和服着た黒髪ツインテール白粉肌の少女が中学校から帰宅した。

「おかえりなさい瑠奈」

 三日月柄の和服着た白粉肌の母親らしき人物が少女瑠奈るなを玄関先迎えてくる。

「あ、ママも帰ってきたんだ」

「ええ。それとあなたのも待ちわびてたわよ」

「うん。ルナに会ってくるわ」

 瑠奈はそう言うと2階の自分の部屋まで上った。

「あの子のわがままは一体誰に似たかしらね」

 そっと母親は呟いた。


 ーー「数ヶ月前」ーー


「行ってきまーす♪」

 朝食を済ませた青のブラウスを着た瑠奈が通学のために出かけた。

「行ってらっしゃい」

 返事をした母親は台所で洗い物してる。

 彼らは時間帯に余裕あるのか、地味な焦茶の着物着た中年の父親は新聞を広げてゆったりとコーヒーを飲んでいて、高校の制服を着た白粉肌の少女楓はトーストをゆっくりと食べている。

 と、そこに父親と同じ着物を着てる青年梅田虫男は飼ってるイシヤマカブトムシの餌やりに夢中になってる。

「カブちゃん♪今日もお元気でちゅね♪さ、よく食べまちょうね♪」

 赤ちゃん言葉で母性本能発揮してる虫男は自分の朝食よりも虫の朝食につきっきりだった。


ーー「通学路」ーー


「おはよう♪命」

「おはようございます。瑠奈さん」

 瑠奈は自分の親友である巫女服着た命に挨拶する。

「おっはよーと。瑠奈、命。いえーい」

 アイスTシャツを着込んだ茶髪の少年が来て命、瑠奈にハイタッチする。

「翼さん。おはよう御座います」

「おはよう翼」

 彼らは瑠奈と同じ中学校に通うクラスメイトであり親友である。

 瑠奈は自分が制服よりも自由な服を着たいために近くの市立中学校よりもわざわざ自宅近くの野花駅から鐘技駅まで乗り換えして徒歩15分で着く鐘技私立中学校に通う。

 一応彼女は八木家のしきたりで白粉にしてるがごねて和服は着ない。そのため八木家はしばらく瑠奈の好きなようにさせている。

 巫女服着た少女の名は神木命かみきみこと。彼女は瑠奈と同じく自由服で選んだ。命は童心神社の神主の娘、巫女見習いである。命の趣味は同人絵を描くのが趣味である。

 最後にアイスTシャツを着た彼の名は永木翼。彼は永木財閥グループ会長の孫であるおぼっちゃま。顔立ちもよく残念系美少女の姉桜よりもモテる。彼の趣味はトレーディングカードゲームやボードゲームなどのアナログゲームマニアであり、桜と同じネット通販等でレア物や掘りだし物見つけると衝動買いしてしまい、姉弟揃って財布事情はいつも金欠である。

「なー。今日も俺んちでみんなでマジカル☆パーティやらない?」

 と、翼の提案に。

「やるやる♪今日も狩らせてやるわよ!」

 と、瑠奈は勝つ意気込みである。

「はい。みなさんには負けませんよ」

 命は拳を込めている。

「決まりだな♪あと一名適当に誘っておくよ」

 瑠奈達は胸を期待に膨らませて学校へ向かった。


「2」


ーー「永木屋敷邸」ーー


「フレイム!」

 属性指名した翼は裏に伏せたカードを一枚置く。

「マジです!」「カル」「マジ」

 参加者はマジかカルを宣言すると、翼が出した伏せたカードをオープンして炎の絵柄マークだった。外した参加者はカードのスキル説明に3枚のダメージ札を受け取ると書かれてたので参加者賢木理奈はダメージ山札から自身の場にカードのダメージ札3枚を取り載せる。

 瑠奈達は暇そうにカニのパンを食べていた賢木理奈も誘って永木屋敷邸に集まり4人でマジカル☆パーティのカードゲームをやっていた。

 このマジカル☆パーティのゲームルールはトランプゲームダウトのルールに似たような物でゲーム開始時に自身の手札13枚入手して、手番が回った時に1枚ずつ伏せたカードを切った4つの属性[フレイム、イナズマ、アイス、ストーン]のうちにひとつを指定して、手番以外参加者全員はマジかカルを宣言する。属性がホントならマジ、ウソならカルになる。見事にピッタリ的中すれば切った相手に宣言したカードに書かれてるスキルが発動する。外せば自分自身にスキルを受ける。また手番時にダメージ山札1枚わざと引いてダメージ2倍できるオレンジアタック等かけひきや戦略性も生まれるカードゲームだ。

 このゲームの勝敗は参加プレイヤー全員の手札なくして自身のダメージ数が1番少ない方が優勝となる。

「イナズマだよ!」

 理奈は伏せたカードを裏にして一枚置く。

「カル!」「カル」「カル」

「うっ……」

 瑠奈は伏せたカード一枚を表にめくると絵柄は氷のマークでスキル説明に全員外れた場合は自身のダメージ札を全て相手に押しつけると書かれていた。

「狩られた……ふぇーん」

 理奈は机に置いてあったカニのパンをパクっと齧った。

 理奈以外参加者は今まで所持してダメージ札を全て理奈に渡す。

「ふふふ♪まだまだね」

 瑠奈は笑みを浮かべていた。

 瑠奈達は夕陽が沈むまでマジカル☆パーティをやっていた。


 ーー「野花駅前」ーー


「あー。すっかり遅くなっちゃったな」

 外は少し暗くなっていた。

 瑠奈はポケットの中からスマホを取り出し見ると18時近く指していた。

「こんな時間か。あー。お姉ちゃんに怒られるな」

 瑠奈の両親はいつも晩遅くに帰宅してるので瑠奈が遅く帰宅してもあまり咎めないが瑠奈の姉である楓は厳しく叱るので恐れている。この前は無断で楓が楽しみに取ってたヤギプリンをパクって食べた時にはしばらく瑠奈に対しては無言の圧力で正座させられて痺れた足をひどくせめていた。

 その記憶の片隅に覚えていた瑠奈は肩を震わせて自宅まで走って向かった。

 その途中の道路に弱った子供の黒猫が3本足で右後足を引きずって歩いていた。それを見た瑠奈はふと立ち止まり黒猫に近づいた。

「おまえどうしたの?……ケガしてるね。痛くない?」

 瑠奈はひょいと両手で黒猫を持ち上げた。黒猫はルナルナと鳴いていた。

 瑠奈は周辺を確認してみた。周りには誰もいない。なにか親猫とはぐれたのか、この黒猫一匹だった。

「……おまえ。わたしの家に来る?」

 ルナルナと鳴いていた。

 瑠奈はしっかり持ち上げ後右足のケガを注意しながら、自宅に向かった。



「3」



ーー「八木家」ーー


 虫男は黒猫の右後足に包帯を当て応急処置をした。

「よし。こんなもんだろ。しばらく傷口おさまったら、包帯外しな。一応明日動物病院に診てもらえよ」

「ありがとう♪ムッシー」

「先生もわざわざすみません」

「いいてことよ」

 虫男は少し微笑んで医療用具を片付けにいった。

 彼は無類の虫好きなため、虫のケガや病気を治すため、自然と生物全般医学に詳しくなった。

「ルナよかったね♪」

 瑠奈は自分の拾った黒猫に同じ自分の名前であるルナと名付けた。ルナはメスだった。

「あなたは遅く帰ってくるどころか、野良猫拾ってくるなんて。瑠奈、世話は自分でやるのですよ」

 楓は瑠奈にきちんと面倒は見るように伝える。

「お姉ちゃんに言われなくても、わかってるわよ。よしよしルナ♪」

 ルナはスリスリと瑠奈に頬擦りする。それを見た瑠奈は自分の我が子のように可愛いがった。


 ーー「2週間後」ーー


「ただいま」

 瑠奈はあれ以来、翼達とマジカル☆パーティで遊ばなくなり、まっすぐ帰宅するようになった。

『ルナルナ』

 ルナはスリスリと瑠奈の足元を頬擦りして甘えてくる。

「お腹空いたんだね。ちょっと待っててね♪」

 戸棚から、キャットフードの袋を取り出して猫皿に入れる。

「はい♪お食べ」

 ルナはキャットフードに夢中なりガツガツと食べる。

「おまえよく食べるね。少し太った?」

 ルナはよく食べる食いしん坊だった。かなり食欲あるので普通の子猫よりも少し多めに食べさせていた。

『~♪ルニャルニャ』

 瑠奈はルナが食事するのに見惚れていた。


ーー「1ヶ月後」ーー


『ちょっとリナ!わたしの魔法パクったでしょう』

『パクってないよ。ちょっと借りただけだよ』


 瑠奈とルナは自宅の居間のテレビで日曜日の朝からやってる『魔法少女PAKRINA』のアニメに夢中だった。

 このアニメでは、魔法少女に変身できるパクリナ、パクルナ、パクレナの3人組ドタバタコメディアクション物である。

 今流れてるシーンは主人公パクリナが敵に攻撃魔法使う時に少しパクルナの魔法を勝手にパクってパクルナが怒るシーンである。

「なぁ?俺の本を知らないか?」

 虫男が瑠奈に尋ねてきた。

「ルナがそこに座ってるわよ」

 ルナが虫男の本を積み重ねてちょこんと椅子の踏み台として座っている。

「あー!!ちょっとルナおまえ、俺の大事な本を勝手にパクって座るな!」

 と、虫男はルナの座ってる本を取り出そうとするが、

『ルナルナ!』

 ルナは怒った鳴き声をだしてフーと威嚇をしてるみたいだ。

 虫男は噛みつかれないように本を取り出そうと奮闘する。

「まるでアニメに出てくるパクルナそのものね」

 と、瑠奈は呟いた。

「それはあなたが言うセリフかしらね」

 楓が洗い物を終えて居間でひと息ついて言った。

「ちょっと、それどう言う意味?」

「別に~」

 瑠奈はすねた。

 この後、ルナは虫男の本におしっこかけて虫男がルナルナ!と泣き叫んでいた。



「4」


ーー「次の日」ーー


「命、瑠奈おはよう♪」

「おはようございます。翼さん」

「おはよう。翼」

 いつもの通学路に瑠奈達は雑談する。

「なー。俺、新しいカードゲーム買ったんだ。今日も俺んちでやらない?」

「はい。翼さんやりましょう♪」

 命は翼のやるカードゲームに興味心身だ。

「瑠奈は?」

 翼の誘いに対して瑠奈は、

「ごめん。わたしルナにごはんあげないといけないから、また今度ね♪」

「そっか。それなら仕方ないな。じゃあ、また今度」

 翼は残念がっていた。命は瑠奈の疲れた顔に心配そうにチラ見した。


 ーー「鐘技駅前」ーー


「~♪」

 瑠奈は毎日充実していた。ルナを見るたびに愛着が湧いていた。

 ルナはもう成猫の大きさであり、八木家の周囲は驚いてた。それに伴いルナの食欲が活発になり、こまめに餌やりしなきゃいけなくなり、瑠奈の疲労が溜まっていた。しかし、瑠奈はそれも苦とせずにやっていた。

「あれ?」

 瑠奈は帰りの駅に向かう途中、ベンチで寂しげに1人で白髪の老人男性が絵を描いてた。

 瑠奈はふと気になり、老人の絵を描いてるの見たら、とても上手く描写していた。

 興味本意で絵を描く老人に見学してると、老人が声をかけてくれた。

「……おまえさん。名はなんじゃ?」

「瑠奈……」

 老人は途中の描いた絵をおろして、新しい絵を描きだした。サラサラと描き、瑠奈そっくりな肖像画を描いた。

「……おまえにやろう。お代はいらん」

 老人は肖像画を瑠奈に渡した。

「本当?おじいさんありがとー♪」

 瑠奈はスキップしながら駅の中に入った。


 ーー「八木家」ーー


「ただいま」

 瑠奈は帰宅後すぐルナに餌やりして、自分の部屋に魔法少女PAKRUNAのアニメポスターのとなりに肖像画を飾った。

 その肖像画を見てうっとりしていた。

『ルニャナ~』

 ルナが勝手に自分の部屋に入り込んできた。

 ルナは必要以上に甘えてくる。

 今日のルナはうっとおしいく思えた瑠奈は部屋に追い出した。

「ルナ!今日はあっちに行っててね♪」

 そう言って瑠奈は部屋のドアを閉めた。

『……………』


 ーー「????」ーー


 今日の晩、瑠奈がグッスリと就寝してると金縛りにあっていた。

 そして瑠奈の目の前に覗く人の気配が感じる。

「………?」

 瑠奈が目を覚まして見て周囲を確認すると、部屋のドア前に少女らしき影が立っていた。



「5」


ーー「通学路」ーー


「おはようさんと」

 翼は命にハイタッチする。

 次に翼は瑠奈にハイタッチしようとするがあまり反応ない。

「瑠奈?どうしたんだ、目元黒いぞ?」

 瑠奈は白粉肌で真っ白だが目元は黒くになっている。

「……ごめん。今はそういう気分じゃないから」

 瑠奈はやつれていた。

 毎晩のようにあの少女の影が立っていた。

 そのため瑠奈は眠れなくなり寝不足になっていた。

「瑠奈さん。ちょっといいですか?」

 命は瑠奈に声をかけた。

「……なに?」

「放課後、少し話があります。絶対来てくださいね?すぐ終わりますので』

 命の強いお願いに瑠奈は黙って従った。


 ーー「鐘技私立中学校2年3組」ーー


「あなた取り憑かれてるわよ」

「えっ?」

 命は瑠奈に真剣で言った。

「このままで行けばあなたは喰われるわよ『ルナ』に」

 それを聞いた瑠奈はブルブルと震えていた。

「だから悪いことは言わないわ。あの『ルナ』捨ててきなさい!」

 瑠奈は勢いよく立ち上がり叫んだ。

「なんで!!なんでそんなことを言うの?彼女はわたしの大事な家族よ!あなたに言われる筋合いないわ!もう帰る!!」

 瑠奈は立ち上がり去る。

「待って!?ちゃんと話を聞いて!あの『ルナ』は」

 命の制止を振り切り、瑠奈は走って帰った。

「……瑠奈」

 命は俯いていた。


 ーー「八木家」ーー


 瑠奈はそのまま帰宅すると、ルナに餌やりする。しかしルナはおらず探してもどこか見つからなかった。放し飼いしてるのでしばらく戻ってくるだろうと。今日の瑠奈は食欲がなかったのか、夕食とらずそのまま就寝した。


ーー「瑠奈の部屋」ーー


 瑠奈はいつものように寝ていると、また金縛りにあった。そしてまた少女の影が見えたが今晩だけは影が漆黒で色が濃い。

「……!」

 漆黒の影から白い目元が開いたようにギョロギョロとして影が飛び出しゆっくりとこちらに近づいて襲ってきた。

「……!!」

 瑠奈は必死の抵抗もと、なんとか金縛りを解いて自分の部屋から出ようとドアを開けようとする。

(……開かない!?)

 何度もドアノブまわそうとするがドアが開かない。助けを呼ぼうとドアを叩く。漆黒の影がゆっくりと近づいてきた。

「……いや!?誰か助けて!!」

 瑠奈は必死に助けを呼んだ。

 すると窓ガラスが突然割れる音がした。

 その漆黒の影が振り向くと小さな影が漆黒の影に襲いかかってきた。

「ルナ!?」

 その影はだれでもなくルナ自身だった。ルナは瑠奈を守るように漆黒の影を襲い続けて、漆黒の影は怯えると肖像画に逃げて、ルナも後を追いかけるような形でその肖像画に吸い込まれるように消えた。

「ルナ……」

 瑠奈は肖像画に向かって見て泣いた。



「6」


ーー「次の日」ーー


 学校で瑠奈は無理を言って放課後、命に肖像画を診てもらった。

「そう。それ、わたしがもらいますよ。ちゃんとおはらいしますから」

 命の提案に対して瑠奈は、

「ダメ!これはわたしの絵だからパクらないで!」

 命はクスクスと笑い。

「では、わたしがこの札を貼りつけます。簡単なものですが、もうこの絵は二度とあなたの前から現れないでしょう」

 命は肖像画の裏に簡単なお札を貼った。

 瑠奈はしぶしぶ頷いた。


ーー「瑠奈の部屋」ーー


 楓と虫男は瑠奈に許可をもらい。例の飾ってる肖像画を見ていた。

「ふーん。これが例の絵か」

「はい。瑠奈も大変危険な目に遭いましたから、神木さんに一応おはらいさせました」

 虫男はフッとニヤついた。

「ま、上手く描けてるな。まるで生きてるようだな。そう言えば瑠奈はあれ以来おまえと同じ和服を着るようになったんだな」

 楓はうなずく。

「ええ。自分と仲間外れは嫌だらしいですよ。瑠奈はなんでも欲しがるけど、他人から横取りされると怒りますからね。困ったものです」

 フフフと笑う楓。

「こいつもパクられないように注意しないとなルナ」

 と、虫男は言った。

 楓達はお座りしてる黒猫の肖像画をじっくりと眺めていた。


 ーー「????」ーー


 人混みの道路上に黒い円の影がゆっくりと通過する。そして交差点の横断歩道を渡ろうとすると、

「どこへ行く?」

 呼びかける声に黒い円の影は停止する。そこの目の前に立っていたのは老人だった。

 黒い円の影は一目散に逃げる。

 すると老人の影から無数の漆黒である獣が飛び出して影を捕らえる。獣達は老人以外誰も見えない。

 そして獣達は影を引きずり出してついばみ喰らった。


 ーー「神木神社」ーー


「よいしょ。よいしょ」

 命は袋詰めした物を運び出していた。

「ただいま」

 玄関前から老人が帰宅する。

「あ、お爺さまお帰りなさい。今日もまた絵を描きに行ってきたんですか?」

「いや、ちょっと喰らってきたわい。なんでも命の友達にちょっかいするから、わし自らパクってきた」

 命はクスクスと笑う。

「そうですか。ならもうひと安心ですがこの『ルナ』も片付けないといけませんね。礼察も動きましたので、私たちどうじんそくばいかいも慎重に動かないといけませんね」

「うむ。そうじゃな。で、例の『ルナ』はどれじゃ?」

「これです」と命はさした。

 その指す方向に積まれた少女と猫の写真が印刷されたキャットフードの袋の商品名に『RUNA』とラベルが刻印されていた。


 パクルナ! 完

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