「あっ! お喋りをしてる間にモンスターのお出ましよ!」
僕が回答を迷っているうちに、すぐ傍までモンスターが近付いてきていたようだ。
モンスターはスライム型で、一般的なRPGで考えるならものすごく弱い敵だ。
「新人、魔法で倒すニャ」
しかし敵が弱いからといって、いきなり魔法で倒せと言われても困る。僕はまだ魔法の使い方を知らない。
「突然倒せと言われても」
「モンスターはいつだって突然現れるものですよ」
「それはそうだけど!」
こうなったらヤケだ。子どもの頃にアニメで見た魔法少女たちを思い出せ。彼女たちはどうやって魔法を使っていた!?
僕は記憶の中の魔法少女と一緒に呪文を唱えると、杖をモンスターに向けた。
「炎よ燃やせ!」
すると杖の周りに光の粒が舞い、次の瞬間には炎が放たれた。炎はまっすぐモンスターへと飛んでいき、モンスターを焼き払った。
「マジ?」
「初めての魔法で成功するなんて」
「すごいニャ」
僕の魔法を見ていた三人は、口をあんぐりと開けていた。
しかし少しして、ハッとした三人がスライムのいた場所へと走った。
「草に燃え移ってる! 早く消火!」
三人は急いで地面を踏んで消火を試みた。
出火の原因である僕も慌てて地面を踏みに行く。
「こんなところで炎魔法を使うとは、危険なやつニャ」
「すみません……」
「まあまあ。初めて魔法を使ったんですから、こんなことになるとは思いませんよ」
ジトっとした目で僕を見る獣人娘をエルフのお姉さんがなだめた。
そしてペコペコと頭を下げる僕の肩を、人間の少女が叩いた。
「君、やっぱりあたしたちのパーティーに入って。強い魔法使いなら大歓迎だから。それにイケメンはもっと大歓迎!」
「お前には魔法を使う素質があるニャ。パーティーに入ったら瘴気を無効化する魔法を練習してほしいニャ」
「ぜひパーティー加入をお願いします。私たちに力を貸して下さい」
「……僕で良ければ、よろしくお願いします!」
僕の答えを聞いた三人は、嬉しそうにハイタッチをした。