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第7話


「あっ! お喋りをしてる間にモンスターのお出ましよ!」


 僕が回答を迷っているうちに、すぐ傍までモンスターが近付いてきていたようだ。

 モンスターはスライム型で、一般的なRPGで考えるならものすごく弱い敵だ。


「新人、魔法で倒すニャ」


 しかし敵が弱いからといって、いきなり魔法で倒せと言われても困る。僕はまだ魔法の使い方を知らない。


「突然倒せと言われても」


「モンスターはいつだって突然現れるものですよ」


「それはそうだけど!」


 こうなったらヤケだ。子どもの頃にアニメで見た魔法少女たちを思い出せ。彼女たちはどうやって魔法を使っていた!?

 僕は記憶の中の魔法少女と一緒に呪文を唱えると、杖をモンスターに向けた。


「炎よ燃やせ!」


 すると杖の周りに光の粒が舞い、次の瞬間には炎が放たれた。炎はまっすぐモンスターへと飛んでいき、モンスターを焼き払った。


「マジ?」


「初めての魔法で成功するなんて」


「すごいニャ」


 僕の魔法を見ていた三人は、口をあんぐりと開けていた。

 しかし少しして、ハッとした三人がスライムのいた場所へと走った。


「草に燃え移ってる! 早く消火!」


 三人は急いで地面を踏んで消火を試みた。

 出火の原因である僕も慌てて地面を踏みに行く。


「こんなところで炎魔法を使うとは、危険なやつニャ」


「すみません……」


「まあまあ。初めて魔法を使ったんですから、こんなことになるとは思いませんよ」


 ジトっとした目で僕を見る獣人娘をエルフのお姉さんがなだめた。

 そしてペコペコと頭を下げる僕の肩を、人間の少女が叩いた。


「君、やっぱりあたしたちのパーティーに入って。強い魔法使いなら大歓迎だから。それにイケメンはもっと大歓迎!」


「お前には魔法を使う素質があるニャ。パーティーに入ったら瘴気を無効化する魔法を練習してほしいニャ」


「ぜひパーティー加入をお願いします。私たちに力を貸して下さい」


「……僕で良ければ、よろしくお願いします!」


 僕の答えを聞いた三人は、嬉しそうにハイタッチをした。





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