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第7話




「ただいま!」


あまりに機嫌が良くて、妙にデカい声を出してしまった。

いくらカンの良いお母さんでも、まさか今日の出来事を知るはずがない。

そんなことはわかっていながらも、なんとなく恥ずかしくて、お母さんの顔がまともに見られなかった。




「おかえりなさい。」


どこか元気がないような気はしたけれど、特に気にすることもなく、私は自分の部屋に向かった。




お風呂に入り、部屋着に着換えて…

何度も何度も、小林さんからのメモのことが思い出されて、頬が緩んでしまう。

これからごはんだっていうのに、こんなににたにたしていたら、両親におかしいと思われてしまう。

私は、鏡に向かって真面目な顔を作る。

いや、こんなに硬い表情はいらない。

却って不自然だ。

いつも通り…リラックス、リラックス!




キッチンに行くと、もうご飯の準備が出来ていた。

私が両親の異変に気が付いたのはその時だった。




いつも他愛ない話題で笑いながら食べるのに、お父さんもお母さんもほとんど笑わないどころか、喋りもしない。




「あれ?今日は二人共どうしたの?」


「……どうもしてない。」


お父さんはそう言ったけど、その時、お母さんが急に泣き出して…




「お母さん、どうしたの!?」


私はとにかくびっくりして…

だって、お母さんがこんなに泣いたところなんて、見たことがなかったから。


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