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第142話




「えっ!?そんなはずはありません。

良く調べて…」


「調べるも何もありません。

私は侍女のことはすべて把握しております。

この城に、サキなんて侍女はおりません。」


「あの…背丈は俺の肩くらいで、肩に着く程度の茶色い髪…

今まで記憶をなくしてこの城を離れていたが、数日前にここに戻った侍女なんですが…」


「記憶を…?

数日前にここに戻ったですって?

そのような者なら、なおさら私が知らないはずはありません。

何かのお間違いじゃないですか?」


「そ、それなら、王女様に会わせて下さい。

王女様はサキのことを知っている。」


「王女様はご静養のため、ここにはいらっしゃいません。」







「マリウス…どういうことなんだ?

ここにいないとしたら、サキは一体どこに行ってしまったんだ?」


いつもは冷静なフェルナンが、感情的な声を上げた。




「落ち着け、フェルナン…」


「これが落ち着いていられるか!

サキは行方不明なんだぞ!」


「今夜、アンセルに話して、彼にサキのことを探ってもらう。」


「おかしな様子はなかったのか?

最後に会った時、サキはどんな様子だったんだ?」




その時はさほどおかしいとは思わなかった。

だけど、思い出してみれば、確かに何かおかしな感じはした。

記憶を取り戻したというのに、あまり嬉しそうでもなかったし、自分のことをあまり話したがらないような感じもした。



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