その晩、俺はアンセルに、サキのことを調べてくれるように頼んだ。
アンセルは詳しい事情も聞かず、快くそれに応じてくれた。
フェルナンは、サキのことが心配でたまらない様子だ。
(フェルナンは、サキのことが好きなんだ。)
だが、その恋は望み薄のように思える。
なぜなら…サキには、きっとなんらかの秘密があるからだ。
門の所でサキを見たあの女性は、サキを王女の元へ連れて行った。
それはどういうことだ?
それに、サキのあの腕輪…
あれは庶民が持てる代物ではない。
そんなことを思った時、俺は、関所の番人のことをふと思い出した。
『ロバート様の部隊のデニスを呼んでほしいのですが…』
そうだ…あの老人は確か、そんなことを言っていた。
「アンセル!すまないが、ロバートという人の部隊にいるデニスという者のことも探ってくれ。」
「ロバートの部隊のデニスだな。わかった。」
「それと、王女が今どこ
行ってるか。
いつ帰って来るかもな。」
「あぁ、わかったよ。」
サキの秘密を探ることは、もしかしたら、フェルナンにとって辛い結果を招くことになるかもしれない。
しかし、このままにしておくことも出来ない。