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第144話

その晩、俺はアンセルに、サキのことを調べてくれるように頼んだ。

アンセルは詳しい事情も聞かず、快くそれに応じてくれた。




フェルナンは、サキのことが心配でたまらない様子だ。




(フェルナンは、サキのことが好きなんだ。)




だが、その恋は望み薄のように思える。

なぜなら…サキには、きっとなんらかの秘密があるからだ。

門の所でサキを見たあの女性は、サキを王女の元へ連れて行った。

それはどういうことだ?

それに、サキのあの腕輪…

あれは庶民が持てる代物ではない。




そんなことを思った時、俺は、関所の番人のことをふと思い出した。




『ロバート様の部隊のデニスを呼んでほしいのですが…』




そうだ…あの老人は確か、そんなことを言っていた。




「アンセル!すまないが、ロバートという人の部隊にいるデニスという者のことも探ってくれ。」


「ロバートの部隊のデニスだな。わかった。」


「それと、王女が今どこ

行ってるか。

いつ帰って来るかもな。」


「あぁ、わかったよ。」




サキの秘密を探ることは、もしかしたら、フェルナンにとって辛い結果を招くことになるかもしれない。

しかし、このままにしておくことも出来ない。

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