目次
ブックマーク
応援する
1
コメント
シェア
通報

第157話




「陛下、王妃様…ただいま、戻りました。

長い間留守をしてしまい、申し訳ございません。」


サンドラさんに見せてもらった、魔法の写真通りの二人だ。

私は緊張で声が震えないように、一言一言噛みしめるように話した。

王妃様が私をじっと見てるような気がするけど…大丈夫かな?




「おぉ、シャルア…

長旅で疲れただろう…大変だったな。

おや…顔が少しふっくらしたのではないか?」



私の顔を覗き込むように見るその眼差しは、とても優しい。




(この方が、私の本当のお父さん…)




「は、はい。

目方が少し増えました。

それに、気分も随分と良くなりました。」


「そのようだな、顔色もとても良くなっている。

だが、油断は禁物だ。

まずはゆっくりと休みなさい。」


「はい。」


私は、シャルアさんの部屋に運ばれた。

寝台に寝かされ、レベッカさん以外の人が部屋からいなくなってから、ようやく緊張が解けた。




「シャキア様、お疲れ様でした。」


サンドラさんが不意に現れた。




「陛下や王妃様のご様子は?」


「はい、陛下は特におかしなところはないと思ったのですが、王妃様が…」


「王妃様が、私の顔をやたらとご覧になってらっしゃったように思います。」


「王妃様が…?

大丈夫だとは思いますが、とにかく今は様子をみましょう。」


「はい。」


長い間、馬車に揺られてけっこう疲れた。

気疲れもすごかったから、ついうとうととしてしまった。



この作品に、最初のコメントを書いてみませんか?