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第156話




「では、良いですね。

手筈通りに…」


「はい。」


私はシャルアさんの方を振り向いた。




「シャルアさん…行って参ります。」


「はい、シャキア…お気を付けて…」


「では、参りますよ。」




サンドラさんが私とレベッカさんの腕をつかんだと思ったら、次の瞬間、周りの景色は一変していた。




「さ、シャキア様、その寝台に横におなり下さい。」


「は、はい。」


「そろそろ、迎えの馬車が来るはずです。」




サンドラさんの言った通り、少しすると馬車が庭にやって来て止まった。

そして、担架のようなものを持った人達が部屋にやって来た。

サンドラさんは、その前に姿を消した。




「お願いします。」


レベッカさんがそう言って、私は担架に乗せられ、馬車まで運ばれた。




さぁ、いよいよだ。

この馬車がお城に着いたら、失敗は許されない。

私は、もうシャルア王女なんだから。




隠し部屋でサンドラさんに教わったことを、頭の中でシミュレーションする。

まず、お城に着いて、王様や王妃様に会ったら…

ごく普通に挨拶と帰還の報告、そして、体調が良くなったことをアピール…

陛下たちには初めてお会いするけど、緊張しないように気を付け、親しみを持って…




(うん、大丈夫。

私には出来る…!)




私は自分に暗示をかけた。

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