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第159話

私は、子が出来なくなる薬を飲み続けた。

リゴレットの跡継ぎ等、決して産んではならないからだ。




薬のおかげで何年も子が生まれなかった。

だが、そのことで王は側室を招き入れた。

その女は、本来、王と結婚するはずだった名門貴族の娘だと知った。

王も、アーリアの神託によって、幸せを奪われたのだ。

しかし、それでも、同情する気にはなれなかった。




側室・二ルジェにはすぐに子が生まれた。

最初はその子だけを殺すつもりだった。

だが、王の二ルジェに対する優しい眼差しを見ていたら、憎しみが募った。

嫉妬ではない。

リゴレットの王が、幸せでいることが許せなかったのだ。




二ルジェは思いの外、早くに死んだ。

毒が効きやすい体質だったのかもしれない。

王の悲しみに暮れる顔を見た時は、本当に胸がすっとした。




私は、その少し前にとても悲しい経験をし、酷く気分が落ち込んでいた。

その時は、そんな気分も吹き飛ぶような爽快な気分だった。




あとは、シャルアが死ぬのを待つだけ…

そうすれば、この国の王位継承者はいなくなる。

そんな時、大巫女アーリアの神託が下った。

しかも、相手は私の故郷であるヴァリアン王国だ。

神が…いや、悪魔が私を応援してくれているのだと思った。




シャルアの体はすでに毒に蝕まれ、結婚出来るような状態ではない。

遠いヴァリアンに行くことすら無理だろう。

アーリアの神託に背いて国が滅びるのと、シャルアの命が尽きるのと、一体どちらが先だろうと思っていたのに、シャルアが回復した…




(こんなこと、あるはずがない!)




きつく噛みしめた唇から、赤い血が流れ出した。

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