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王女シャルア

第160話




「本当に見違えるようだ。

こんなに元気になるなんて…」


国王は、私を見て首を振る。




「陛下……実は、私……

陛下に謝らなくてはならないことがございます。」


「謝る…?何のことだ?」


「実は…今回、私は魔法使いの力を借りました。」


「なんだと!?」


陛下の眉間に、深い溝が彫り込まれた。





「私の体内の毒は、治る見込みがないと言われていました。

ですが、私が元気になれなければ、アーリアの神託は遂行出来ず、そうなれば、リゴレットは滅びてしまいます。

私はなんとしてでも、そうはしたくなかったのです。

それで、ある時…魔法使いのことを思い出しました。

彼らは、普通の人間には作れないような秘薬を作ることが出来ます。

ですから…もしかしたら、魔法使いに頼めば、解毒剤を作ってくれるのではないかと、そう考えたのです。」


「そういうことだったか…最近、城の中でサンドラを見たという者がいたのは…」


「はい、サンドラに相談し、薬に詳しい魔法使いに頼んで解毒剤を作ってもらいました。」


「……実を申すと、私は、リゴレットのことは諦めていた。

そなたの体が治ることはないだろうし、我が国もガザンのように滅びてしまうのだろうと…

この国が存続出来る手立てなどないと考えていた。

だが…そなたは諦めてなかったのだな。

私がもう少し柔軟な考えをしていたら、そなたはもっと早くに元気になっていたのかもしれぬ。

シャルア…本当にすまなかった。」


陛下はそう言って、私の手を握られた。

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