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第161話

これも、サンドラさんのアイディアだった。

とにかく、シャルアさんが元気になったことを疑われてはまずい。

そのためには、やはりなんらかの理由が必要だということで、考えられた言い訳だった。




「いえ…陛下にご相談もせず、勝手な真似をして本当に申し訳ないと思っています。

しかも、陛下のお嫌いな魔法使いに相談するなんて…」


「いや……私が意地を張っていただけなのだ。

王妃様がご病気に倒れ…その病は医師達も匙を投げる程だった。

そんな時…私は魔法使いに頼んだのだ。

どうか、王妃様を救ってくれと…

しかし、王妃様は助からなかった…

その後、王妃様を亡くしたことで先王様も気力をなくされ、どんどん弱って行かれてな…

ついに、起き上がることさえ出来なくなられた。

その時も、私は最後の手段として魔法使いを頼った。

だが…先王も助かることはなかった。

その時からだ…私が、魔法使いを毛嫌いするようになったのは…

頭の中ではわかっていたのだ。

お二人共、もう手遅れだった…

魔法使いが悪いわけではないのだと。

しかし、私は、お二人の死を誰かのせいにしないと、過酷な現実を受け入れられなかったのだろう。」


「陛下……」


初めてお会いした陛下は、『国王』というイメージとは違って、正直で優しい人のように思えた。

こんな方だから、国が滅びるとなってもシャルアさんを責めることなく…でも、きっと民のことを想い、胸を痛められていただろうと思う。




「これからは私に遠慮することはない。

サンドラに頼みたいことは、なんでも頼み、そなたはとにかく元気になることだけを考えるのだ。

良いな?」


「陛下…どうもありがとうございます。」

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