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リラ
リラ
古都綾音
異世界ファンタジー冒険・バトル
2025年08月12日
公開日
1.5万字
連載中
過去の民サーラ 里の至宝 人を癒し 救い 国を栄えさせる歌を歌う乙女 役人クレオに さらわれた彼女の命運とは?


里に美しい乙女がいた 彼女がリラを奏でると

鳥も獣も共に聴き 鳥はうたった

その乙女の名はサーラ

流れる銀の髪の 今の世では 存在しえない 過去の民と……その証拠の 紫の瞳の乙女

 彼女が歌うと 怪我人が 癒え国が栄えた

 サーラは 里に隠された乙女

 この乙女は 里人の宝

 熊が小熊を連れてやって来た

 腕に怪我をしている

 サーラが 歌った

 音と 声が 傷を 纏わり なで 皮膚を宿し 毛皮すら回復させる

「おかえり……」

 サーラがふ……と笑う

 ドン!ドン!と太鼓の音

 昼の仕事の時間だ

「いくわね……」

 サーラが木の根からたった

 ぴちち……ひばりも席を立つ

 獣たちも思い思いに散っていった

「サーラ!サーラ」

「ルーテル」

 サーラが 呼ばれて

 診療所の 門をくぐった

 ここには戦で 運ばれる負傷兵ばかり

 元里民である

 サーラが歌った

 伸びやかな しなやかな声に重症兵がつつまれる

「ルーテル このままでは ここも」

「いっぱいね」

 赤い髪と 金の瞳のルーテルが 頭を抱えた

 ここしか秘密を 守れる場所がないの!

 ルーテルの呟き

 サーラは 負傷兵から記憶を 消した

 彼らは癒され

 戦地へ帰っていく

 どんどん……どんどん

 太鼓が嫌な響き

「サーラ出ないで」

 ルーテルが サーラを隠し部屋に隠す

 あいつらだわ

「よおルーテル!お前の診療所随分回転が早いな」

 クレオ

 王国の役人……

 サーラが身を固くした

 秘密の 薬草でもあるのかね?

 クレオが ルーテルの頬を撫でる

 魔女でも飼っているのでは?

 大臣のお達しだ

 検める

「……!」

 サーラ!

 ルーテルが 扉になっている薬草棚に ふさがった

「おい!」

 兵士の 一人が ルーテルを ひったてる

 棚を検める

「きゃ!」

 ルーテルの悲鳴

「ルーテル!」

 サーラがリラに 指を立てる

 眠りの歌

 そっと奏でる

 ドタン複数人が倒れる音

 ルーテルが 棚をずらす

 サーラ!

 やーっぱりか!

 クレオがたった

 過去の民 クレオは耳栓をしていた

 そしてルーテルの 胸を剣で刺した!

「いや!ルーテル!」

 サーラが

 後ろ手に組まれリラが取り上げられる

 王国へいく……

 里は焼き払え!

「いやー!」

 サーラが 引きずられる

 ルーテル!

 歌えないようにしろ!

 猿ぐつわをかまされる

 んーっんーっ

 サーラが ルーテルを救いたくて涙を 流す

 うるさい!

 クレオがバシと 平手で打った

「いいお土産だ!」

 王のお好みだろう!

 珍品が お好きだからな!

 いけ!

 兵士たちが 里に散った

 そして里人が 子供が里ごと焼き払われた!

「んーーーーーっ」

 サーラが 泣いた

 クレオが リラを 抱え

 サーラを 値踏みする

 さーて

 金貨何枚になるかねー!

 涙が眦をやく

 サーラが暴れるので クレオが

 眠らせろ!

 薬品を かがされる

 サーラは くったりと たおれた

 味見もいいかね!

 クレオが

 サーラの 髪をなでた

 いーい女だ!

 クレオ 悪逆非道の 役人のクズであった


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