ー①ー
とある枯れた大地。
そこにはかすかな白い霧が一年中覆われている。
草木が全く生えないから、獣や魔物が見当たらなくて死霊モノたちのたまり場である。そこの棲む者たちは死の大地と別名で呼ばれている。
そしてこの大地で普通の人の他に魔物からヒトへ進化したのが木族と呼ばれる種族である。
彼らは人と違ってわずかな水と土があれば生きながら得ることができた。
そして彼らが寿命が迎える頃にはそこに死木として生え残りそのまま枯れ木になるまで生涯終えるのだが、その死木を求めて奪い去る者も少なからずいる。
彼らも生活するためにその死木を切って暖炉の燃料したりまたは家や家財道具を作る材料にもなる。
そんな死木を奪い去る者達はやがて徒党を組み賊を形成する。
彼らは木族の死木を奪い去る"木賊"と呼ばれた。
ー②ー
深い霧の中。
そこにゆったりと歩く絹のローブを着込み顔は深く被り隠されている。
しかし、身体の特徴から女とわかる。
そして霧の中から人らしき集団が現れる。
その構成は若い男衆。
そう、彼らは木族の死木を荒らす木賊。
木賊は魔物や武装する木族に対して得物を各自持っている。
「おい!おまえ止まれ」
若い男衆の頭目が呼び止める。
彼らの口から下衆みたいな涎がこぼれ落ちる。
彼らは人だが所詮野郎共の群れであり賊である。
ここら辺は無法地帯だから、人でもなんでもあれ平気で無差別に襲う。
その賊達見ても無視して女の歩みは止めなかった。
憤り感じた新人の賊1人が女の肩を触れた途端、彼の意識が暗転する。
その賊の彼が宙に舞ったからだ。
そう、彼女が軽く投げ飛ばしたのだ。
賊達がやられたの確認すると各自得物を持って襲いかかるが女は徒手格闘戦を繰り広げて全て賊共仕留めてしまった。
事を済んだ彼女は身体の土ほこり軽く払った。
そしてすぐ魑魅魍魎共のうめき声が聴こえてきた。
その時、彼女の顔が新しい
ー③ー
「ネール!行くよ」
「うきゅるー」
僕達2人と1匹は木族の村に向かう。
僕はホープ。歳は18。
戦闘を嫌がる弓戦士。
なぜなら一度戦場を経験して嫌々と戦っていたから、みんなにそう命名されたからだ。
そして、僕の隣にいる可愛らしい羊の着ぐるみのような魔物は相棒のネール。
可愛いらしい反面だが戦闘狂であり、体当たりされたら屈強なオーガさえでも倒れてしまうほどだから。
そのため僕が弓を引いてる間、近接の戦闘は彼女がやってくれる。
ま、一応メスだよ。
「……ホープ」
「どうかしましたか?シャンペトルさん」
彼の名はシャンペトルさん。
彼は数少ない魔剣使いを超える"魔剣者"。
僕よりも断然強い人である。
「……依頼内容なんだ?」
僕はそれを聞いて深いため息するのは64回目である。
魔剣を持つ者にとって人生を失われていくから仕方ないがシャンペトルさんはかなり物忘れが激しいのである。
「僕達はこれから
「……そうだったな。
そう、僕達は彼ら木族を全て討伐する。
なぜなら、あの村から依頼されたから。
ーー"魔剣者の村"の人たちにね。
ー④ー
「グォォォン!!!」
僕達は木族達の村を襲撃する。
元は魔物だといえ人と変わらず言語も喋るし僕らと意思疎通はできる。
でも、僕達は彼らを討伐しなければならなかった。
「ホープ!援護たのむ」
「いやだーーーー!」
僕は全力で嫌がる。
いや、実際に嫌ではないだけど。
僕はちょっと変わった弓戦士である。
なぜなら僕は
唱えた
つまり、僕が"やだやだやだ"と嫌がると、弓矢が僕の周辺に出現して最後に"いやだ"を発言すると目標指定物に向かって放たれる仕組みである。
これは僕が考えた
そのおかげで嫌がる弓戦士の異名をつけられたんだよね。
不本意だけど。
そして僕のいやだがいくつか木族達に当たる。
そしてその取りこぼしにシャンペトルさんは素手で彼らを粉砕していく。
あ、気づいた?
シャンペトルさん魔剣持ってないんだよね。
彼らに奪われたんだよ。
魔剣者の人達に。
そして僕達の仲間も人質である。
そうだね、僕達以外にも別行動してる仲間もいるんだけど心配だな。
彼女は特に戦闘狂だからね。
ま、人ではないけど……。
そして目的である木族達を全て残らず討伐した。
僕達は村を焼いた後、囚われている仲間達の元へ向かった。
ー⑤ー
「他愛もないね」と最後の死霊モノを斬り捨てる女。
彼女の戦闘狂に怯える木賊達。
彼女の得物は双剣は軽くどんな相手でも斬り裂ける業物
そして彼女は双剣戦士。
戦闘は踊るように舞って、彼女にかかれば獲物は踊り狂うようにバラバラになる。
そして彼女は戦闘狂であり、常に
彼女は戦闘終えると、そこに怯える1人の賊に木賊の村の場所を教えるよう脅す。
木賊達は素直に従った。
彼女は強い。
逆らえれば自分自身もバラバラになるからだ。
そして彼女はローブを脱ぎ捨てた。
彼女の名はシャンペトルと死闘を繰り広げた魔導双子人形姉妹の片割れファーネ。
髪の毛は元々白かったが彼女の趣味で紅く染めている。
ファーネもシャンペトル達同様人質を取られている。
ファーネは目標指定である木賊の村に駆け足して向かった。
ー⑥ー
「大丈夫かしらね~あの子たち」
「……ああ、そうだな。その前にせめーんだよ!?もう少しあっちいってろよ!!」
「やん♡」
俺の身がもたねー。
なぜなら狭い鉄の檻の中で野郎と小娘の肉サンド状態になってるからだ。
……ほぼオカマ野郎が占拠してるからな。
俺たちはシャンペトルの因縁絡みにとばっちり受けてこうして魔剣者の村人達に囚われている。
俺の自己紹介はまだたったな?
俺はロランだ、また会ったな。
そして右隣にいる小娘は魔導人形フィーネ。
俺が新しく改造して生まれ変わった相棒さ。
で、紹介するのも嫌だが左隣にいるこのオカマ野郎は、
「マックス・ハートよ♡よろしくね♪うーんぷちゅ」
……というわけだ。
こいつは何故か武器や鎧などは身につけず全て
そして最後に隣で小さな檻にいるのはシャンの相棒ジェイドだ。
しかも俺たちよりも待遇がよく食事もついてるらしい。
おい!おれが食べてる食事よりも豪華だぞ!?俺と代われワンコロ!
と、無視してがっつくワンコロ。
「……ご主人様」
「む?来たか!」
と、冗談を思ってる間に来たみたいだな。
そこに現れたのはシャンペトル達だ。
と、別行動していたファーネも丁度取り返して来たようだな、お姫様を。
依頼通り達成したようだ。
ふー。これで一件落着だと。
俺たちはこの時は思っていた。
……だが、無残にも目の前に殺されたからな。
……お姫様がホープの矢に放たれたからだ。
ー⑦ー
「姫様!?」
魔剣者の村人達が姫と呼ばれる場所に駆け寄る。
ホープ以外の場にいた彼らは状況が今ひとつ理解が出来なかった。
そしてホープは笛を吹くとそこから現れてきたのは討伐したはずの木族達だった。
「ま、まさかまだ生き残りがいたのか?」
魔剣者の村人達は驚いた。
そしてホープの号令の元、木族達は魔剣者の村人達を襲いかかる。
「つ、強い!?一体なぜ!?」
魔剣者であるはず彼らは木族達に立ち向かうことは出来なかった。
そしてクククと笑いこみあげるホープが言った。
「説明してあげるよ。こいつらは僕が手塩にかけた"魔剣者達の死体を吸った木族"だからさ」
「!?」
シャンペトルは驚愕した。
まさかそんなことが可能とは。
そう、魔剣者達が恐れていたのは木族であった。
木族は水と土さえあれば生きられる。
そして木族の中には効率よく摂取できるように考えたのは人間。
そう、死体から養分として得ると考えた者もいた。
その養分は強い者であればあるほどなおよかった。
なぜならその分"チカラ"を得るからだ。
そう、魔剣者みたいな強さに。
「あ、そうそう。君たちは自由だよ?仲間のよしみでね♪」
と、ホープは木族達に囚われたロラン達を解放した。
「さて、無事仲間の対面済んだでしょ?僕達はこれで」
ホープ率いる木族達は退散しようとする。
「待て!ホープ」
シャンペトルがホープを引き止めようとするが彼は無視してそのまま、魔剣者の村をあとにした。
そしてシャンペトルは自分が追い求めていた復讐対象の魔剣者の村にいる彼が討ち取られるのみて複雑な状況を見せていた。
「ああ!戦いテェー!!」
その時、ファーネは主人の命令以外は余計な事はできないのでやきもきしていた。
ー⑧ー
かつてここに魔剣者の村があった。
彼らは元は言えば元王国の生き残りである。
そして村の再興をために王族の生き残りである姫を立てて王国復興を夢を見ていたがホープの手によって村の魔剣者達は全て皆殺しされて王国復興無くなった。
そしてシャンペトル達は魔剣者の村人から奪われた武器を取り戻して馴染みのある村のギルドに依頼報告する。
そして重く見たギルドはほかの村のギルドに使節を送り、ホープ率いる木族達の賞金首をかけた。
その時のシャンペトルはーー。
「……いてますか?シャンペトルさん」
「きいてる。ホープ率いる木族達の討伐依頼」
それを聞いた受付嬢は棍棒を寸止めのところで止めた。
「え?え?え?……なんか、悪いものでも食べたんですか?」
「……」
「……」
シャンペトルはいたたまれなく去ってしまった。
彼は複雑な状況であった。
かつての復讐対象である魔剣者達の村の彼はすでに殺されていた。
そのおかげで彼の目的が見失なったからだ。
ギルドの外に待つジェイドは彼を見て心配の素振りする。
彼はなんでもないと取り繕うとしても顔が出ていた。
彼の復讐旅は終わった。
今度は目的を求める旅に出かけるのである。
木賊の村 0104 Stage clear!