ー①ー
とある、東の大陸にあるずっと果ての島がある。
そこに住む人達は独自の着物と呼ばれる服を着て主食である米を炊いて食べる習慣がある。かつてその島にある村は現存するだけで64村もある小さな村がほとんどである。
そしてこの恐ろしいカイダンという話も広まってるのもこの島文化である。
各地放浪してるシャンペトルもその地域にある村に訪れたのがこのカイダンの始まりでもある。
ー②ー
クスクスーー。
ヒッ!?
アハハハーー。
う……。
クククーー。
……。
(耐えろ耐えろ耐えろ。私)
私は必死に時が過ぎるのを待っている。
そう、真っ暗な場所で私は耐え続けている。
そう、うかつに反応してはいけない。
その時、うかつに反応すればーー。
空鬼に殺されるから。
空鬼は私たちおろか姿や形を誰も見てない。
いつのまにか空鬼を読むと喰われてしまうと村の中で言い伝えがあったから。私たちはそうしてるのだ。
だから私はずっと耐えなくてはいけなかった。
ー③ー
「じゃあ。お父さん行ってきます」
「ああ。気をつけて行ってな」
寝たきりの父に代わって私は晩遅くたけのこを掘りに向かう。
空鬼は昼間から盛んに活動するため空鬼に反応することはない。
でもたまに気配がするので私たちは警戒しながらたけのこを掘りに向かうのだ。
ーークスクス。
ヒッ!?また現れた。
私は道中現れませんようにと祈りながらたけのこを探り当てて手頃なモノを見つけ出して掘り出すとそのまま帰宅した。
その次の日寝たきりの父が空鬼を読んで殺された。
ー④ー
私はいつものように晩遅くにたけのこ掘っていると誰かの気配がした。
しかし、私は空鬼を読んではいけないと思い無視する。
しかし、足遣いとその草むらのかする足音がどんどん大きくなり聞こえてくるのがわかる。
しかし、私は必死に耐えるのだが相手の息遣いも聞こえてくる。
耐えろ、耐えろ私とそのままにしてると右肩にがしりと掴まれた。
「シズカ?何をしてるんだ?」と温かみのある愛しい男性の声は。
「カズヤ!!」
私の幼馴染だった。
ー⑤ー
「ははは。俺が空鬼だと思ったのか?大丈夫だよ。俺がなんとかしてやるからよ」
「うん。ありがとう。カズヤが頼りだから」
私とカズヤはカズヤの自宅に楽しげに会話する。カズヤは寝たきりの父にあれこれ融通していたが先週空鬼に殺されたのでカズヤの両親が引き取り手のない私をカズヤの嫁にしてもらう手筈になっている。だから、明日から私はカズヤの妻となる。
しかし、その願いもむなしく散る。
なにやら慌ただしい叫び声が聞こえるのだ。
「なんだって!?村が賊に襲われているだと!?」
その日、村の男がそう伝えるとカズヤは武器を取り、賊退治に向かった。
「シズカはここに隠れてろ!」とカズヤは私を置いて家に火の灯りを消して施錠した。
「……」
真っ暗な家の中で私はじっと彼の帰りを待った。
ー⑥ー
あれ以来どのくらい経過しただろうか?
するとあの喧騒だった叫び声がいつのまにか収まっていた。
どうやら、賊は退治されたようだ。
私はホッとした束の間に家の施錠がガチャガチャするのだ。
カズヤは鍵を持ってるのでわざわざそのまま開ければいいだろうと思った時に私はハッとするのだ。
もしや、賊なのだろうかと?
私は必死に怯えていた。
殺されて慰めされてしまうと。
それとも空鬼なのだろうか?
その疑心暗鬼になりながらも家の施錠が解除された時彼が現れた。
「ひっ!?お助け」
「大丈夫か?……おまえ、その目は!そうか奴らの仕業だな。安心しろ賊は全て片付いたからな」
その時、彼の発言に私は首を傾げるのだった。
ー⑦ー
「ありがとうございます。旅の方」
「ああ。その目は心中に察する」
彼の名は魔剣者シャンペトルだった。
彼はこの村に賊が蔓延っているのを知るとこの村に襲撃した。
そして村に解放するとほとんどは女と幼い子供達しか残っておらず全員目を潰されていた。
それもシズカも例外だけでなく賊カズヤ達によって慰みモノとして扱われていた。そして空鬼というカイダンを村に広めて信じ込ませて洗脳させることで自害させないよう仕向けさせた。
そんなシズカも信じ込んだ村人の1人だった。
こうして空鬼を読むと殺されるという村ができたのだ。
ー⑧ー
「あの!」
シャンペトルが次の村へ出発するときにシズカに呼び止められる。
「なんだ?」
「あの!私……信じられないです。カズヤが賊の仲間だなんてウソですよね?」
シャンペトルはその問いかけに迷ったが彼女の事情に察して思わず
「……彼は賊に立ち向かうために戦士として神の國へ旅立ちしたんだよ」
「……そんな」
シズカはそれを聞いて泣き喚く。もちろんシャンペトルはウソをついてない。もっとも彼らはシャンペトル自身を賊を見なしていただろうと。
しばらくするとシャンペトルいたたまれないうちに村を離れようとすると。「よかった」とそばの耳元で囁く奇妙な女の声。
振り向いた瞬間シズカはいなく。村は忽然と姿を消して辺りにはいくつかの墓地だらけだった。
シャンペトルはたしかに空気を読んだのだ。
いや、彼は優しさで悪意もなく空気を読んだだけだ。
もし、空気を読まなかったらどうしていたのだろうか?
シャンペトルはこの時背筋が凍りつくような寒気を感じた経験は戦場以外初めてだったから。
空鬼の村 0105 Stage clear!