『おーい、
ロウ?ロウって・・・もしかして。
席に座っていた狼はゆっくりとこちらへ歩いてくると、虎二の肩に手を置いてユエの顔を見ると笑った。
『あ、ユエちゃん?』
『ロウって・・・狼君?え?同じクラスなの?』
『うん。』
虎二と同じでジャージを着てサッカー部で校庭をよく走り回っていた。
日焼けした顔にサラサラの髪が印象的だったが、今、目の前にいる狼は虎二と同じくガッチリとして背が高く、前髪を長くしてセンターで分けている。
少し色が白く優しそうな印象だ。
『わあ、久しぶりだね。』
『うん。本当に。同じ学校でもクラスが一緒にならないと中々会わないもんだね?』
『本当に。二人がいるなんて知らなかった。これからよろしくね?』
狼が頷くと虎二が歯を見せて笑う。
『当たり前だろ?』
『まあな。虎二はユエちゃんがいるの知ってたのか?』
『ああ。一年の時に聞いたから。』
虎二と狼が楽しそうに話している。
目の前の幼馴染が中学生の頃とは違ってぐんと素敵に変わっていて、ユエは少し気後れしそうになる。
『うん?どうしたユエ?』
ユエの表情が曇ったのに気付いた虎二が顔を覗きこんだ。
『ああ・・・二人とも素敵になったから。私はあんまり変わってないし。』
ユエが俯きそうになると狼が言った。
『ユエちゃん、顔を上げて。ユエちゃんは綺麗になったよ?三人ともいい感じになってるって。なあ?虎。』
虎二はハハと笑うと頷いた。
『うん、当たり前じゃん。だから俺も一年の時に・・・。』
そう言いかけて虎二は口を閉ざすと狼の胸を叩く。
『ほら、そろそろ先生来るぞ?』
『そうだな。じゃあ後でね、ユエちゃん。』
狼が席に戻ると丁度先生が入ってきてホームルームが始まった。