夏真っ盛り。今年は空が高く気温も上昇している。
青い空を横目に更衣室の前で虎二とすれ違った。虎二はすでにジャージ姿だ。
『おう、女子はプールだっけ?いいなあ。』
『うん。男子はバスケだよね?虎ちゃん頑張ってね?』
『じゃあな。』
虎二が行ってしまうと後ろから合同クラスの女子が声をかけてきた。
『ねえねえ、如月さん。今の中山君だよね?』
振り返ると柔らかそうな髪を揺らして可愛らしく笑っている。
『うん・・・えっと。合同クラスの・・・西島さんだっけ?』
西島は頷くとピンク色の唇をにっと横に引く。
『西島カナだよ。ねえ、如月さんって中山君と仲良いよね?』
更衣室に入って水着に着替えつつ西島は制服をたたんでいる。
『うん。中学校同じだったから。』
ユエは着替え終えると制服をたたんで置き、ゴーグルを片手に西島と歩き出した。
『そっか・・・あのさあ、中山君と仲良くしたいんだ。協力してくれる?』
『協力?』
『そう。駄目かなあ?女子で仲いいのって如月さんくらいだし。』
『ああ・・・でも協力って何するの?紹介すればいいの?』
『うん。』
西島は嬉しそうに笑うと頷いた。
可愛い子だな、とユエは思う。
柔らかそうなサラサラの髪に白い肌、小動物みたいな瞳にピンクの唇。
誰がどう見ても美少女の西島は女子の中でも視線を引いている。
すらっとした体に水着姿はアイドルのようだ。
授業が終わりバスタオルを肩にかけて西島と廊下を歩く。
けらけら笑いながら虎二と狼がユエたちを見つけて手を上げた。
『おー、なんか涼しそうだな?』
『うん。バスケ暑かった?』