「紗衣花さえかって本当に美味しそうに食べるよねー。一緒に食べると美味しくて仕方ない、最高の調味料だわ」

「食べるの好きだからねえ」

　角が丸い長方形のお弁当箱には、半分ご飯半分おかず。つやつやの白米の中央には赤く輝く梅干しが、仕切りを隔てて詰められているのは個性豊かなおかず達。玉子焼き、ウインナーにブロッコリー、そしてきんぴらごぼう。お弁当といえば？　の問いの模範解答になるようなお弁当。

　大食いじゃないけど食べるのが大好きな私にとっては、想像するのが容易い簡単なお弁当でも、豪勢な昼食になるのだ。

　それに加えて美味しそうにお弁当を食べる友達を見ると、私の食べる美味しいお弁当が更に美味しくなる。

　一人で美味しく食べるのもいいけど、こうやって誰かと食べるご飯も大好きだな。

　それが私、青木あおき紗衣花が誰かと一緒にご飯を食べたいという願いを自覚した出来事だ。