神桜さんが自宅に帰り、30分ほど置いて暁さんが帰ってきた。
私はもう、この気持ちを隠す事は出来なかった。
「ただいま。」
「おかえりなさい。
あのね…」
「どうした?」
「今日、神桜さんが来たの。」
「…へぇ?
それが?」
「好きだって、真剣に言われたわ。」
「へぇ〜…」
「…それだけ?」
「…それだけって?
良かったじゃないか。」
「本当にそう思ってる…の…?」
それには、暁さんは答えなかった。
シャワーを浴びてくる、とだけ言って、リビングを離れた。
私は寝室に上がっていった。
そして、泣き崩れた。
どうして?
どうしてなの?
どうして、俺の方が夜宵を好きだ!って言ってくれないの!?
そうしたら、暁さんの胸に飛び込めるのに…
私は…結局、暁さんのおもちゃでしかないの???
私どうすれば良いの…!?
私は泣く事しか出来なかった。
そんな自分が情けなかった。
もう、いっそのこと…
神桜さんを好きになりたかった。
だけど…
好きなのは?と言われて思い浮かぶのは、必ず暁さんだった。
私も…
神桜さんからしてみたら、酷い女なのかもしれない…
しばらくして、暁さんが寝室をノックした。
「夕飯…
食べないのか…?」
「要らない…」
イラナイ…
そんな言葉じゃ無いの…
私が欲しい言葉は…
結局、夜ご飯も食べずに、私は泣き疲れて眠った。
夢で…
誰かが、優しく優しく、頬にキスしている…
まるで、大切な宝物にキスするみたいに…
そして…
『好き…だ…』
誰!?!?
私は飛び起きた。
しかし、隣には暁さんが寝息をたてているだけだった。