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第63話 好き…

神桜さんが自宅に帰り、30分ほど置いて暁さんが帰ってきた。


私はもう、この気持ちを隠す事は出来なかった。


「ただいま。」


「おかえりなさい。

あのね…」


「どうした?」


「今日、神桜さんが来たの。」


「…へぇ?

それが?」


「好きだって、真剣に言われたわ。」


「へぇ〜…」


「…それだけ?」


「…それだけって?

良かったじゃないか。」


「本当にそう思ってる…の…?」


それには、暁さんは答えなかった。


シャワーを浴びてくる、とだけ言って、リビングを離れた。


私は寝室に上がっていった。


そして、泣き崩れた。


どうして?

どうしてなの?


どうして、俺の方が夜宵を好きだ!って言ってくれないの!?


そうしたら、暁さんの胸に飛び込めるのに…


私は…結局、暁さんのおもちゃでしかないの???


私どうすれば良いの…!?















私は泣く事しか出来なかった。


そんな自分が情けなかった。


もう、いっそのこと…


神桜さんを好きになりたかった。


だけど…


好きなのは?と言われて思い浮かぶのは、必ず暁さんだった。


私も…


神桜さんからしてみたら、酷い女なのかもしれない…


しばらくして、暁さんが寝室をノックした。


「夕飯…

食べないのか…?」


「要らない…」


イラナイ…


そんな言葉じゃ無いの…

私が欲しい言葉は…


結局、夜ご飯も食べずに、私は泣き疲れて眠った。
















夢で…


誰かが、優しく優しく、頬にキスしている…


まるで、大切な宝物にキスするみたいに…


そして…


『好き…だ…』


誰!?!?


私は飛び起きた。


しかし、隣には暁さんが寝息をたてているだけだった。

















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